Piano Trio of D. Smirnov

Facebook のスミルノフのページを訪れ,彼の『ヴァイオリン,チェロとピアノのためのトリオ作品 23・第一楽章』(1977)の YouTube 動画を発見。この作品は,彼の師であるエディソン・デニソフに捧げられている。ソヴィエト時代の作品としては自殺行為ともいえる前衛的な無調音楽である。集中力,密度の高い寡黙な音響というスミルノフ音楽の特徴が,この曲にもよく現われている。歌い出しにちょっとシュニトケ風を感じる人も多いと思う。

前衛的とはいえ,実験的ではない。西欧音楽とは一線を画した衷心さがある。弦のハーモニクスとピアノのモノローグ,悲痛な情感。なにか悲劇的な予感の高まり。ヒステリックなところのない,静謐なアンサンブルが美しい。

Posted by NewMusicXX.

この演奏は CD で入手可能である。ベルギーのレーベル MEGADISC からリリースされた "An Introduction to DMITRI SMIRNOV"(型番 Megadisc MDC 7818)。演奏は Patricia Kopatchinskaya (Vln), Alexander Ivashkin (Vlc), Ivan Sokolov (Pf)。ピアノ・トリオ以外にもヴァイオリン・ソナタほかスミルノフの室内楽が収められている。
 

an introduction to DMITRI SMIRNOV
P. Kopatchinskaya (Vln), A. Ivashkin (Vlc), I. Sokolov (Pf)
Megadisc (2002-09-09)