羽田空港ハブ空港化問題

今日のニュースで,羽田空港を 24 時間就航のハブ空港にするとの前原国交相の発言で,千葉県知事が口角泡を飛ばす勢いで怒っている姿を見た。

韓国インチョン国際空港にもっていかれている収益を日本に還元できるのなら,国益に適うではないか。私は森田さんがなんでそんなに怒るのかまったく理解できなかった。千葉県にある成田空港こそをハブ空港にすべきなのに,ということか。でも,成田よりも羽田のほうが,羽田に国内線で来て成田に移動しそこから海外に出る地方の旅行者にとっても,神奈川県民である私個人にとっても,絶対に便利であり,私の個人的エゴからすれば国交相の決断のほうがありがたい。国が羽田ハブ空港構想を,たくさんいる知事をさしおいて森田さんに「ひとこと断る」べき理由などそもそもない。それを言いはじめると,ハブ化はなんで北海道の千歳空港でないのかと北海道知事が言い出すかも知れず,わけがわからなくなるからである。成田こそが国際空港なのだから,という理屈は,現在の国際線運用がそうなっているに過ぎず,利用者の立場からすれば関係ないではないか。羽田ハブ空港が千葉県の収入を減らしてしまうのだとしたら確かにお気の毒であるけれども,そのような説明もないし,いまそんな理解はできない。

民主党の「地方分権」の主旨は,私の理解では,地方が地方独自の施策で活性化できるよう交付税使途の制約を減らします(要するに,国は口出ししないので自分で知恵を出してうまくやりなさい)ということだ。政府は国益をまず考えます,地方に利権を回す(私はそれでもよいけど)というのとは違います,ということだと思う。森田さんがあんなにいきり立つのがやっぱり理解できません。羽田ハブ空港化によって千葉県の県益がどのように損なわれ,国の施策・国益とどう兼ね合いをもたせてゆくべきかという視点で問題提起してくれないと,あるいは成田をハブ化したほうがこれだけよいことがあると提言する立場でないと,千葉県民でない国民には理解されないのではないだろうか。成田空港の開港にどれだけ血が流れたかなどというセンチメンタリズムでは誰も納得しない(そんなの,そもそも成田に空港を作ろうなんて推進した奴が悪い,で終わってしまう)。

民主党政権,自民党の地方利権政治のツケをしばらくは払わされるということなんだろう。もともと成田と羽田とを国際・国内線運用で棲み分けさせようなんて発想が,利用者不在の地方利権政治の現れではないか。そもそも,そのおかげであれほど血が流れたのではないのでしょうか。