衆議院選挙・民主党優勢

いよいよ衆議院選挙。家にも各政党から電話がかかって来たりする。ねじれ国会のおかげで法審議が一向に捗らないにもかかわらず,4 年も改選していないなんて異常な感じだった。なにか国政の先送り体質が透けているようで,醜かったんである。

新聞各社の予想によれば,民主党が優勢である。単独で 300 議席という記事も見た。昨年から今年にかけ,政府閣僚の失態,小沢民主党代表の献金問題で,自民党,民主党それぞれが一進一退だと私は思っていた。でも,有権者のいまの反応をみていると,そんな一過性の問題で揺れるのではなく,新自由主義小泉政治に対し今回は「ノー」を叩き付けるということがこの状況に現われていると思うようになった。そうだ,21 世紀になっていったいどんなよいことがあっただろう,というわけである。民主党が少しくらい頼りなくったって,ここいらで自民党政権を一遍潰してみよう。それで混乱が生じても受入れよう。国民の思いはそういうことなんだと思うようになった。民主党は官僚政治をぶっ潰すと言っている(そうそう,選挙で選ばれた国会議員に対して舐めたような真似をしてくれた検察官僚に復讐してやればよい)。それを見てみよう。

解散から一月という長い時間の間で,マニフェスト・政策を比較検討する記事をいろんなサイトで見た。「ブレる・ブレない」が流行語のようになっているが,有権者はもうブレないかも知れない。

1930 年代,世界恐慌からの脱出を試みる時代背景において,ファシズムが台頭した。ファシズムは今となっては全体主義的非人道性ばかりが強調されるが,「弱い者の味方」風の社会・国家主義的要素を押し進めて権力を握った。幸福実現党の綱領を耳にして,大統領制にするだの(これは権力を大川総裁個人に集中する,ということである),北朝鮮に一矢報いるだの(これは軍事的国家エゴを堂々と発揮する,ということである),この権力奪取前のナチスの強権的社会主義を一瞬想起してしまった。こんなのを冷ややかに見過ごして,民主党優勢になっているのだとしたら,日本の有権者は冷静なんだと思う。

とはいえ,民主党は党員の出自がバラバラで,安全保障や改憲論という基本的な問題においてすら党内が一致しない,そういう珍しい野党である(小沢さんも鳩山さんも旧自民党内部の権力闘争に敗れた人達である)。ここのところ民主党のマニフェスト修正がからかわれているけれども,そもそもブレまくって当然なのである。多様なことは悪いことではない。各論において状況に応じて軌道修正してゆくことも必要である。しかし,Change の風潮を逆手に取って,政権を取ったら公約を顧みずにへんな方向に突き進む,なんてことのないよう祈る。

民主党が勝利したら,鳩山さんが総理大臣になるわけである。小沢さんのほうがよいと思うんだけどなあ。小沢 — オバマ,小沢 — プーチンの会談なんてぜひ見てみたい。あのコワモテの難しそうな顔で勝負する姿を見てみたい。