Windows XP トラブル

ここのところ会社の PC の調子が悪かった。ブレードサーバのモジュールをセキュア PC から操作する形態で使っている。何年分ものメールが溜まり,ディスク C ドライブの残容量が少なくなり,とうとうウィルス・スキャンソフトのパターンファイル更新のための作業エリアすら確保できない状況になった。このままだと,さらに状況が深刻になる。なにしろ,私は毎日 100 通以上の電子メールを受け取っているのだ。そこで,使っていないソフトを片っ端から消去したり,一時ファイル削除ツールで掃除したりしたが,だめ。いろいろテキトーにファイルを消しまくっていたら,再起動の瞬間に Windows XP システムがおかしくなってしまったのだった。

タスクバー左端の「スタート」ボタンが消えた。タスクバーにあったショートカットアイコンが全滅。起動中のタスクが表示されない。IME のメニューも出ない。IE 6(いまどき!)は動くけどメニューバーが消え,テキストエリアで仮名漢字変換ができない。Office 2000(いまどき!)は動くのに,メモ帳や Adobe Reader,そしてなにより業務上最重要の自社製メールソフトが起動しなくなってしまった。「このアプリケーションの構成が正しくないため,アプリケーションを開始できませんでした。アプリケーションを再度インストールすることにより問題が解決する場合があります」と Windows からおしかりを受ける。ところが,インストーラそのものを起動しても,同じようにしかられるのだ。いったいなんのためのエラーメッセージなのか。

こんな状態では,根本的に手を打つ必要があるのだけど,やるべき本業の仕事もあるわけである。自社製メールソフトには統合クライアント版と Light 版が用意されていて,普段使っている Light 版ではなく,余計な機能ゆえ重たい統合版だと動いた。アプリの切替えも Alt + Tab で可能である。IE でのテキスト入力も,Microsoft Word 上で作成した日本語テキストをコピペすれば,なんとかなった。「スタート」ボタンがなくても,Alt + Ctrl + Del からシャットダウンを選択できる。こうしてこの一週間,かかるオペレーションで仕事をしたのである。うん,確かに Microsoft Windows ってよくできている。ささいなミスにつけ込みひとをどん底に落としておいて(そもそもファイルを消しまくってたのは誰?),最後に少し親切にすることで気を引くタイプのようである(まさにアメリカ人の行動様式ではないか)。

今日,金曜日の定時後,ようやく時間が取れたので,リカバリに取りかかった。でも,現象からして,なにかしら必須のファイルを削除したからには再インストールしか手がなさそうに思われた。しかし,眼の前にあるのは Thin クライアントでしかなく,実際に命令が走行するマシンはセンターにあり,OS のメディアをおいそれと利用できるわけではない。我が社の情報セキュリティは完璧なのだ。情管(情報管理部署)に話を持ちかけるとなると,余計な交渉や事務手続きが必要になり,来週さらに余計な労力を使わさせられそうである。ああ,さらにその先に業務に必要な大量のアプリの再組込み・再設定,地獄のデータ移行が待っている... ってな思い煩いをしつつ,まずはやはりエリアを空けるため,最後手段として腹を決め,2年経過した古いメールを別ドライブにエクスポートして削除することにした。4万通以上あるメールを処理するのに1時間。これで5GBの余裕ができた。

その間に,情管の関与なしにとりあえずできそうなことを考える。消した記憶のあるフォルダを,子分の PC からいただいて来るか。これは私の個人ファイルを上書きして二次災害を起こし,さらに酷い事態に陥れるかも知れない。却下。部下がいい加減な見積書を持って来る。叩いて,見直しを命ずる。却下。お前,ひでえ見積のバツとしてこの PC も月曜日までに ... などとパワハラめいた誘惑に駆られたが,抑え込む。そもそもこれは私自身の自業自得というものである。IE でググってみたがこれという解決策が見当たらない。トルストイが言ったように,不幸はそれぞれの姿で不幸なわけであって,計算機環境の壊し方は千差万別,そう簡単に対処法が見つかるはずはなさそうであった。

結局,Service Pack をもう一度適用してみることを思いつき,Microsoft のサイトからダウンロード。350MB の大容量通信もいまや煙草を吸う間に終わってしまう。これがバッチリだったようで,見事に回復した。ウィルス・パターンファイル更新も無事終了。その後,なんかイヤな予感がして情管の掲示板をみていたら,「Service Pack 3 の適用は沙汰あるまで禁止」との通達を見つけた。自動配信ソフトウェアが未対応だからというのである。しまった,Service Pack 2 にしておけばよかった。いまさらやり直す気力は失せていた。まあ,仕事に必要なソフトは完全に動くようになったのでいいや。

それにしても,我ながら軽率に過ぎる。同じ軽はずみで自宅サーバの Web 環境を壊したばかりであった。呆れる。こういうことは続けて起こるものである。溜息が出る。本業の作業環境はおまんXに直結するだけに MUST の意気込みで取り組むのだが,一方,自宅サーバについては日頃の作りっぱなしのごちゃこちゃ,ノーコントロール,足場の残骸を思うにつけ,何十年も散らかした部屋の後片付けのように,面倒でやる気がなかなか出て来ないんである。喝!