小沢さん大丈夫?

民主党小沢代表が在日米軍削減論をぶって,政府自民党に批判されている。次期首相は間違いないと思われるだけに,この国際感覚のなさを目の当たりにすると,たしかに大丈夫かと不安になる。民主党は,政府自民党が自滅しつつある(というより,もう自滅した)状況で,どうやらいよいよ悪ノリをはじめたようである。

いま米国は日本の安全保障にかける金を減らしたい一心なので,こうした首をかしげさせる発言は大歓迎なのである。オバマ・麻生会談での「同盟強化で一致」というのは,米国からすれば,米軍が手薄になるところを日本の軍事力増強で同盟を強化する,米国はその兵器を日本に売ることで協力する,ということだと思う。小沢さんはヒラリーさんに自尊心をくすぐるような何かを耳打ちされたのか。米国への隷属根性まる見えだった安倍元首相も情けなかったが,次期首相候補ともあろうおひとが日米同盟において米国から値踏みをされるような発言をなすのは,もっと情けない。「ロシアも,中国も,北朝鮮も,何をおっぱじめるかわからないこのご時世に,どうも何の危機感もないようだ」というふうに見えるからだ。「あんたがいないと怖いの」と甘える安倍より,「いいよいいよ,あんたたちが少しくらいいなくったって大丈夫じゃ」と根拠もなく強がる小沢のほうが,もっと滑稽に見える。どうして,もっとうまく米国を使おうという小賢しさがないのか。

小沢代表は「日本の防衛に関することは日本が責任を果たせばいい」とまで言ったそうである。これは,日本があれだけの防衛費を掛けながら「責任」を果たしていないと公言しているようなものである。それはよいとして,どうやって「責任」を果たすのでしょうか。憲法を改正して軍備増強する? また,この不況でどこからそのための金を捻出するのでしょうか。ぜんぜん意図が理解できない発言である。なんでいまこんなリスキーなことを言うのだろうか。専門家の意見を聴きたくなった。

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小沢さんの暢気な発言の一方で,北朝鮮の情勢はいやな雰囲気。

最近また北朝鮮がテポドンを発射するんじゃないかというニュースが出ている。これは人工衛星だと北朝鮮はまたぞろそら恍けているそうである。さらに,もし発射したら米国防総省・日本国防衛省は迎撃システムで撃ち落としてやると言っている。私はどちらかというと,後者のほうが問題だと思う。Yahoo! ニュースの書込みを見ていると,「やれやれムード」なのが目立つ。これは当然かも知れないが,打上げ花火を見てスカッとしたいだけだと思う。

もし迎撃に失敗したら,ここ数年防衛省が鳴り物入りで取り組んでいるミサイル防衛の信用がまるつぶれになり,それこそ北朝鮮の笑い者になるばかりか,いよいよ彼らの核のダーティーカードを増長させる危険性が高いからである。また,日本の防衛戦略の見直しが迫られるのは間違いなく,核武装・先制攻撃正当化論が一挙に進む危険性がある。そうなると戦争正当化のハードルが著しく低くなるのではと思う。そして,逆に,もし迎撃に成功したら,それはそれで恐ろしい事態が起こるのではないか。「人工衛星を攻撃した」日本は,「先制攻撃を受けた」として武力行使の口実を北朝鮮に与えてしまうかも知れないからである(中曽根外相は「人工衛星でも国連安保理決議違反だ」と,つまり,核ミサイルとみなしてよいよね,と必死に中国に対して根回しをしたが,これに中国は「明確な認識は示さなかった」とされている。これは中国の理解が得られていないと考えたほうがよさそうで,あとで,やっぱ証拠もなく人工衛星を撃墜したあんたが悪いと言われかねない)。X デーに向けて,外務省は世界の超大国の予想される反応をよく分析しておくべきだと思う。

本当に怖い時代になった。