加藤周一死去

作家・評論家の加藤周一が亡くなった。今日の朝日新聞一面に出ていた。享年 89 歳。多面的に事物を観察し,和漢洋の深い学識に裏付けられた論評で定評があった。政治的にはリベラルな立場で知られ,戦後日本の自由主義的論客の代表だと思う。

高校の国語の教科書に彼の評論『日本の庭』が掲載されていて,私はその名を知った。その後,尊敬の念をもって,『日本の庭』を収録する『芸術論集』(岩波書店, 1967 年),『日本文学史序説』(筑摩書房, 1975 年) などを読んだものである。こういう「教養人」がいまどれだけいるだろうか。

かのフランスの構造主義的人類学者,クロード・レヴィ=ストロースが今年 11 月 28 日で 100 歳の誕生日を迎えたという。最近,ああ,あのひとも遂に鬼籍入りかと思う一方で,およよ,このひとまだ存命だったんだ,と嬉しく思うことしきりである。