青春のレザヴァンチュリエール。ロベール・アンリコ監督,アラン・ドロン,リノ・ヴァンチュラ,ジョアンナ・シムカス主演,1967 年フランス映画の名作。このたびツタヤのレンタル DVD で久しぶりに観た。
あの八分の六拍子の軽快なピアノのテーマ曲が不穏な 1960 年代の若者の,軽やかにして暗い情熱を表現している。二十年遅れで映画館で観たこの私にも,いまやこのうえなく懐かしい。このテーマは大貫妙子の曲『アヴァンチュリエール』(アルバム『Aventure』所収) のイントロでも引用されている (大貫妙子の曲では地中海ギリシアのサントリンが歌われているけれども,そのこころは同じである)。
大西洋の自由な紺碧の空。西仏ラ・ロシェール,海に囲まれた白壁のフォル・ボワイヤール (ボワイヤール要塞)。夢の挫折。世間体に捕われることのない自由への憧れ。ローランがレティシアの屑鉄モビールを前に「なにを表すのか?」と問う。レティシアは「わかるのは自由人だけ」と応える。おそらく自分でもわからずに。そう,かつての若者はこうした「自由人」に憧れたのではなかったか。いったい,いま,誰がこういう青春のテーマを描いてくれるのか?