ロンドン在住のロシアの作曲家ドミトリ・スミルノフからメールが来た。久しぶりとの挨拶とともに,彼の作品:"Op.140 DREAM JOURNEY (夢は枯野を Yume wa kareno wo - ГРЁЗЫ СКИТАНИЙ) 17 Haiku by Matsuo Basho for soprano, flute, clarinet, violin, cello and piano" の初演コンサートの案内があった。この作品は松尾芭蕉の十七の俳句をもとに,もともとソプラノとピアノのために作られたものである。その後,ソプラノ,フルート,クラリネット,ヴァイオリン,チェロとピアノのために再編成され,今回この室内楽版で初演されるとのこと。
来年 2009 年 2 月 6 日金曜日,ロンドンの王立音楽院 (ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック)・デュークス・ホール,午后 6 時開演だそうである。作品はスミルノフによる露訳・英訳テクストでも演奏可能になっているが,今回は芭蕉オリジナル日本語テクストで演奏されるようである。演奏は,Erika Colon (soprano), Tzu Kao (flute), Lucy Downer (clarinet), Lisa Ueda (violin), Jessica Hayes (cello), Alissa Firsova (piano)。最後のアリッサ・フィルソヴァはロンドン王立音楽院に在籍しつつプロ・デビューを果たした新進ピアニストであり,スミルノフの令嬢である。彼のウェブにもその案内が掲載されている。
この作品はスミルノフが五年前に作曲したものである。2002 年にたまたま私が彼にファン・レターを書いたところ,それをきっかけに芭蕉についてのメールの往復がはじまり,その過程で,本作品の日本語部分のチェックなど私もささやかな協力をしたのである。そのお礼に彼の作品の CD や,この Dream Journey のスコアをいただいた。私にとっても思い出深い作品である。 その経緯からか,初演の案内を私に知らせてくれた彼の心遣いもまたとても嬉しかった。私もこの初演コンサートに行きたい。しかし私には仕事もあるし,ロンドンは遠い (先立つものもない...)。このコンサートの録音が手に入ればよいのだが。