米国下院で金融安定化法案が否決された。経営で失敗した企業の尻拭いを公的資金で行うことはモラルハザードをもたらすとの基本的理念に基づくものだろう。それが世界的金融不安を増長するかもしれないわけだけど。日本も 1990 年代の不良債権問題で公的資金を投入してきたのであってみれば,その経験からこれが吉と出るか凶と出るかは専門家が判断すると思う。いずれにせよ破滅に向かって歩みつつあるような危機感を覚える。金融不安になるとこれまで資金転がしで金持ちになったひとたちが大損するだけならざまあみろで終わるのだが,金持ちがその損害を下々のものに転嫁するから堪らないのである。
これで米国の金融市場がガタガタになると,1990 年代以降米国型金融グローバリズムに適応させられ,郵政民営化でそれが完成してしまった日本への影響が測り知れない。かつて国庫にあった日本人の巨額の郵便貯金が海外の巨大投資家によって運用されて,日本の富が収奪されてゆく。米国型金融経営が破綻するとともに同じ構造に立つようになった郵便貯金も同じ運命をたどるのだろう。小泉改革万歳。
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相撲協会をクビになった元若ノ鵬関は法廷闘争に踏み切った。これに加えて,大麻疑惑,八百長問題をはじめとする相撲界の数々の不正に対し積極的に証言すると語っている。日本人のなあなあの体質に胡座をかいてきた相撲協会が外国人の論理で攻められはじめたということだろう。なんか企業をクビになった社員のチクリで大っぴらになる偽装問題と酷似している。どんな結末になるか見物である。