朝まで生テレビ — 雅子さまの心の病い

ちょっと個人的な理由でテレビ朝日『朝まで生テレビ』を少しだけ観た。私はこの番組をこれまで何度か「覗いた」ことがある。激論を交わすひとたちはそのテーマに一家言を有する有名人ばかりで,尊敬に値するひとたちではないかと思う。ところが集まって番組で議論をはじめた瞬間にそのへんの井戸端会議のおっさん,おばさんに見えてくるから不思議である。互いにひとの話の腰は折るし,脱線するし,揚げ足はとるし,田原総一朗も意地悪なつっこみを入れるしで,要するに私はいつもみるにみかねて最後まで付き合ったためしがない。

それはそうとして,今夜の議題は「これからの "皇室" と日本」。私がちょい観たあたりでは,雅子さまが心の病いに苦しんでおられるがゆえの皇室の公務への差し障り,その是非などなどが話題になっていた。西尾幹二は,「公務をまっとうできない皇太子妃は国民を守る立場に相応しくない」などと,意味不明の雅子さま批判をしていた。

私は,皇室でさえもが心の病いに陥っている現実を受入れているこの日本という国が,開かれたよい国なのだと思うばかりである。こういう弱さは — 弱い自分を不本意でも受け入れるところは — ある意味で,日本人の美点であると思う。私はあきれるばかりの誠実さを感じるのである。皇太子殿下も取り繕うところがない。

雅子さま,下から読んでもまさこさまは,現代日本人の悩みを体現しているようで,お気の毒であるが,妃殿下の恢復は現代日本人の心の癒しを測る指標にすらなるように私には思われる。日本ではなく欧州での静養が妃殿下の心の安定に資するとの話にはぞっとしないものがあり,日本人自身が日本になにか違和感を覚えているのだろうかということを考えてしまう。こういう点においても,皇室は日本の象徴であるということの意味深さを感じさせられる。心の病いがクローズアップされることでこそ,なぜか私には雅子さまがダイアナ妃よりもチャーミングに見えてしまうのである。こんなことを言っても不敬にはあたらないはずである。