職場変わる,米国民主党大統領候補選

職場が再び溜池山王に移った。私の課だけ本部ビルにいたのだが,部の拠点である赤坂に集結ということになった。

社員食堂が利用できないので,数少ないお弁当組以外は皆外で昼食をとる。最近,霞ヶ関ビルの横にできた霞ヶ関倶楽部なるビルで,子分と昼食。夜は高い飲み屋になる,外堀通りに面したお店。850 円の唐揚げランチはまずまずであった。部下は昼食補助 500 円以内でなんとか賄いたいらしいが,霞ヶ関・赤坂周辺では難しい。

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米国民主党の次期大統領候補選びは,オバマさんの勝利がほぼ確定のようである。改革路線に期待がかかっているようである。でも私は米国の民主党が — 日本の民主党同様 — 嫌いである。なによりヒロシマ/ナガサキに原爆を投下したのが民主党トルーマン政権だったからである (単純...)。

もし民主党の大統領が選出されたら日本の国益にとってよいのだろうか。共和党もタカ派のイメージが強くて好きになれないけれども,それ以上に民主党は米国の偽善的価値観を押し付けてくるのではないかと私は思っている。本質的でない問題で日米関係が曲がってゆくことが想像される。民主党は先の米国下院選挙で大勝した (来年 1 月の大統領選挙もこのあおりを食う可能性が高い)。あのあと日本にとってなにが起こったか。民主党議員が提案した従軍慰安婦問題の非難決議である。なんでいまこの時期にと,— 中国の差金かと,— 意外に思うひとも多かったと思う。

米国の一般市民は — 我が家の愛読する朝日新聞と同じで — この手の「他人の」人権問題,前近代的スキャンダルが大好きなのである。東アジアの安定だとか中東の緊張緩和だとかよりも,正義感の発露の対象として分りやすい。捕鯨問題だとか貿易摩擦だとかのほうが非難の矛先として分りやすい。民主党が政権を獲得したら,またぞろこのようなつまらない問題が日米間で再燃するのではないかと思う (民主党が政権を獲得したら,ゴアさんの熱心な CO2 環境問題への対応がどうなるのか見物ではある)。

一方,サブプライム問題などの国内経済不振のはけ口に,中国との貿易摩擦,中国の軍拡問題,チベット問題などに対して中国叩きを露骨にはじめるのではないか。かつてのスーパー301条,ジャパンバッシングのような外国苛めの次なる対象はどうみても中国である。またイラク問題に嫌気がさしている民意を受けて,民主党政権はイラク撤退を決断するかも知れず,その場合,米国は直接的脅威である中国と北朝鮮に対してやみくもな強硬路線に転じる可能性があり,東アジアは危険極まりない状況になるのではないか。民主党は安全保障に対する感度が共和党に比べ低い。かつて民主党ケネディは裏をかかれていつのまにやらキューバにミサイル配備されて激昂し,米国の論理で核戦争の一歩手前まで世界を追いつめた。そういうアンテナの低さが恐いのだ。

とまあ,あんまり根拠のない心配をしてしまうのである。WASP 一辺倒の米国大統領の伝統に黒人系候補が食い込んでゆけるかという関心もあって,オバマさんには頑張って欲しいという心情もあるのだけど。またこんな心配もさることながら,日本政府がこの先の米国の動きをどのようにみているのか,興味深い。日米同盟は揺るぎない,米国に右へ倣えばかりではそろそろ限界だと思うのだけど。