門光子のCD

HMV横浜で門光子のCDを購入した。『東方逍遙』と『ACROSS THE UNIVERSE』。門光子は私にとって,音楽の現在を知らしめてくれる大切なピアニストである。イタリア Fazioli 製グランドピアノを奏しているところも個性的である。

『東方逍遙』には吉松隆の『6つのロマンス』のほか,現代日本の作曲家による作品,ピアノ編曲が収められている。そのピュアな音作りは,ちょっとウィンダムヒルのジョージ・ウィンストンのレコードを想起させる。吉松の,夢の中で風に吹かれているような優しい音楽は,満員電車からアジアのどこか広い人煙絶える平沙に連れて行ってくれる。

『ACROSS THE UNIVERSE』を聴いていると,さりげない悲しみを感じて果敢ない気分になる。ジョン・ケージ,フェデリコ・モンポー,アルヴォ・ペルトの小品が特にそう。

門光子はこの他,アルバム『風の記憶 — 現代日本のピアノ音楽』を発表している。四年前私がはじめて聴いた彼女のCDである。「風」は彼女のすべてのアルバムに共通するイメージだと思う。そこはかとない現代の夢幻。三作すべて,求める音楽はここにあった,と思わせてくれる素晴らしいCDである。

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