pLaTeX では和文と欧文の間に四分アキが自動的に挿入される。非常にバランスがよいのだが,アクセント付き T1 フォントエンコーディングなどの欧文文字は,なぜかこの制御の対象にならず,pLaTeX のバグではないかと疑われる。
これをどうやって対策すればよいかずいぶん悩んだ。しかし藤田先生の『LaTeX 本づくりの八衢』を調べると,このあたりの対処のヒントがきちんと書かれている。本書は 9 年前に入院生活のなかで読み,LaTeX の調整にここまでこだわるひとがいるものなんだと感心したものであった。さすが。
本書によると,pLaTeX は欧文と和文のアキを文字の属性 \xspcode で管理していて,値により前後にアキをいれるかどうかを決めている。もっぱら約物の組み方調整に使われるようである。
和文と隣合わせになったとき鋭アクセント付 A の前後にアキを挿入するためには,X"C1 の \xspcode に 3 を設定する。次のような例文をタイプセットして見比べてみるとよい。
和文中のAと\'Aとでアキが違う。 \xspcode"C1=3% A with ecute accent. 和文中のAと\'Aとでアキが揃う。
藤田眞作先生の『LaTeX 本づくりの八衢』,もうひとつ『LaTeX マクロの八衢』は絶版になってしまって,いまは入手が困難になってしまった。どちらも pLaTeX-2.09 仕様準拠であり,現在主流の pLaTeX2e からすると古色を帯びてしまっている印象があるが,マクロ調整の内容はこんにちも意味をまったく失っていない。