走れメロス

娘が『走れメロス』の一場面に曲を付けている。学校で,この太宰治の名作の主な場面で付随音楽を演奏し,皆で朗読をするという企画を進めているという。小学生でそんなことをやるのかとちょっと驚く。娘は,メロスが川の氾濫や盗賊にゆく手を阻まれるくだりの担当だという。

「ふたつ案があるんだけど,どっちがいい?」とピアノの演奏を聞かされた。ひとつめは高いトーンの分散和音による,メロスの苛立ちを彷彿とさせるフレーズ。もうひとつは低い音程がとぐろを巻くようなフレーズ。うーん。ちょっと悩んだが,メロスが親友を残して出立し,目的を果たすのに大童であるプロットからすれば,最初のほうがいいかな,と意見した。「先生はふたつめがいいっていうんだけど,お父さんのいうことのほうが納得できる」,と満足気であった。

それにしても,ピアノを弾きながらしゃかしゃか曲を作っていく様子は(楽譜なんて書かないのだ),我が子ながら私の常識を越えた一面を持ち合わせているんだな,と感心してしまった。もう少しピアノもうまくなってくれよとは思うのだけれど。

その企画,見に行きたい。