Pray for France である。
今日ニュースで知りびっくりした。一月に起きたシャルリー・エブド社襲撃事件も衝撃的だったが,これはイスラム教徒を笑い者にしたエブド社への報復だったというような背景がありターゲットがはっきりしていたのに対し,今回は同時多発の無差別テロだったので,もうこういうところまで来てしまったのか,という深刻な事態をいやが上にも知らされた感がある。十三日の金曜日のテロ。悪魔の行為である。
IS が「犯行声明」を出したような報道があったのだけど,報道における声明文をみると,犯人を8人の兄弟,つまり同志と呼んでいるだけだった。事件の過程で死んだ犯人が8人だっただけで他に共犯者もいたらしいことを考えると,じつは事情のよくわからない IS の愚連隊が,自分の仕業だと勝手に誇示しているだけのようにも思われる。
極東にいて,新聞・テレビ・ネットニュースくらいからしか社会・世界の情報を得られず,普通に仕事をする社会人でしかない俺のような日本人からすれば,まだいまのところは,フランスの深刻な事態は遠いところの事件である。日本でも,集団的自衛権問題にひっかけてテロとの戦いに協力すると日本も狙われる,よって安保法制は悪だ,みたいな短絡的意見を述べる人がいる。でも,日本はそもそもイスラム国家に対して空爆をなす意思も,テロ戦争に関して実力行使を行った実績も,今後為す法的根拠もない(今般成立した安保法制に則っても「法的根拠がない」のだ。なぜならば,テロは国家による侵略ではないので「日本の存続危機状態」に含まれていないではないか)のだから,まったく現実性・実効性のない無意味な意見でしかないように,俺には思われる。それなら集団的自衛権を認める「普通の国」は皆テロ攻撃の対象になるというのと同じである。つまり,「普通の国」なら IS の主張に与する IS の友好国になる概念などありえない以上,「普通の国」は皆テロ対象になる,というのと同じである。たしかにそうかも知れないが,この論理はあまりに当たり前で,実質的意味が何もない(つまり,問題解決効果が何もない)。自己主張すると不当な反発にだって遭遇する,くらいのアホな意味しかない。
それにしても,なんでフランスでこう立て続けに衝撃的テロ事件が起きるのだろうか。ちょっと理解できない。報道によれば,犯人はフランスがシリア空爆を行っていることに対するアラーの罰を加えたようなことを叫んだらしいが,それなら,シリア空爆のいちばんの担い手である米国やロシアが真っ先に標的になってもおかしくないはずではないか。やっぱり,ここにはフランス特有の事情による要因が大きいように思われる。専門家には,フランス特有の社会不安の背景を冷静に分析してもらいたいものである。