兜神社・例大祭

2015 年度に突入。今日は人事異動で新たに部に配属された人たちを迎えた。いまちょっと難しいトラブルを抱えていて,少し憂鬱なんだが,ま,心機一転といきましょう!

昼飯時に,日本橋兜町・事務所周辺をぶらぶら。東京証券取引所とうちの事務所ビルの間の道の奥,日本橋郵便局のほうから,太鼓と笛のお囃子みたいな音が聞こえて来る。気になってその方面に向かったら,兜神社で例大祭が行われていた。

兜神社は日本橋兜町1丁目にあるお社である。六十坪くらいか,ネコの額くらいといってもよい狭い見窄らしい神社で,しかも首都高速高架そばのぱっとしない場所にある。しかしながら,兜神社に掲げられた沿革によれば,この神社,明治十一年,東証設立にともなって,東証が氏子総代となって以来,証券界からの信仰を集めるようになった,とのことである。よって「商業の神様」ということになっている。東証の建物のすぐ向かいにある小さな守護神である。

大阪生まれの私は,「商業の神様」と聞くと,なにより頭に思い浮かべるのは大阪・今宮戎神社,えべっさん。「ホエカゴホエカゴ,エラヤッチャエラヤッチャ,ショーバイハンジョデササモッテコーィ」のあれや。今宮戎神社は十日戎ともなると大混雑,大にぎわい,賽銭箱には福沢諭吉がぎょうさん居てはる,ホンマ,関西人は儲け祈願にはケチケチせんでぇ,みたいなノリなわけだが,この兜神社の例大祭は,じいさんが三人,お囃子をやっとるだけでんがな。おまけに取り仕切っている人が神官服でなくスーツを着た人であった。これで例「大」祭だっか? 見物客はひとりもおらん(否,俺だけがちょっとお囃子を聴いていたんだが)。なんか東京と大阪のノリの違いをまざまざと見た気がした。東京というところは禅文化である。

ここ日本橋兜町は日本の,否,アジアの金融経済の中心地なわけだが,日中ですら人がまばらな感じが強く,東証周辺もほとんど人気がない。私はここの事務所に来るようになって,ここまで兜町が静かな街であることに心底びっくりしたものである。ところがスーパーコンピュータのなかでひそかに延々と衛星軌道計算プログラムが走行しているかのように,この人気の感じられない東証内の ARROWS システムでは一日三兆円規模の途方もない株式の売買処理がなされているわけだ。今宮戎神社はそれなりの広い敷地と何万人もの参拝客があるんだが,支えている氏子の凄さは兜神社には遠く及ばない,っちゅうわけや。東京というところは禅文化である。

今日は雨が降り,風も強かった。兜神社の桜も落花が甚だしかった。春分も末侯となり,雷乃發聲(かみなりすなはちこゑをはつす)とはよく言ったものである。春の気候は変わり易く,花もはかなく飛び散る。兜神社例大祭のため東証をはじめ証券会社は出入り口に「兜神社」の書き入れの入った提灯を掲げていた。風で強く揺れていた。

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日本橋兜町・兜神社/例大祭提灯を掲げる東証・証券会社