水戸の義兄を訪れる

義兄(妻の兄)のお誘いで,水戸の邸を訪問した。併せて梅で名高い偕楽園を散策した。

義兄は有名な精神科医にして,文学・サブカルチャーに関する数十冊の著書をものする批評家でもある。かねてから私は新邸の円形書斎を見せて欲しくてしようがなかった。また,愛猫のシンガプールも愛でたかった。

コンクリート打ちっぱなしの,木材をふんだんに使った家はおしゃれな意匠だった。2 フロア吹き抜けの三角形のリビングにはグランドピアノ,チェンバロ,ハープが置かれていた。これはお飾りでなく,奥様がいつも音楽を奏でているのだ。音響効果の素晴らしい,ため息の出る美しい空間であった。螺旋階段を昇った中 2 階のギャラリーには,雑誌の対談などで知己となった画家たちのリトグラフが,数点展示されていた。その向こうに,同じく 2 フロア吹き抜けの円形の書斎。作り付けの書棚には五千冊の蔵書。さすが文筆家・大学教授の仕事場という趣があった。

ギャラリー,書斎を見て回っている間,奥様がチェンバロで,バッハの『ゴールドベルク変奏曲』を弾いてくれた。そのあとも,ピアノでラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』。見事な腕前であった。チェンバロが自宅にあるなんてうらやましい。しかも,独 SASSMANN 製,二段式鍵盤,古楽・現代の二音程調整可能の本格的なチェンバロだ。娘も珍しがって,何年ぶりかで,バッハのイタリア協奏曲を弾いた。

残念ながら,シンガプール猫ちゃんは人見知りが強くて引きこもってしまい,だっこしたり撫でたりするのは叶わなかった。「二次元に対抗できる唯一の三次元」と遊ぶのは次の機会ということで。

そのあと,偕楽園を訪れた。あいにくの雨で寒々とし,梅もまだ三部咲き,四部咲き,というところか。好文亭の襖絵は見事だった。

夕方,常磐線快速で家路に付いた。娘が笑いながら言う — さあ,猫の引っ掻き傷の抽象画ギャラリーのある我が家に帰ろう!

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