大味なゲーム

台風 8 号の影響で今日は大荒れの天気が予想されたが,台風一過,東京・神奈川は朝から快晴の一日となった。おかげで気温が上昇し蒸し暑くてならなかった。午後の炎天下,某官庁顧客ビルから国道 246 号線沿いに JR 渋谷駅まで 1km 強歩いただけで茹だってしまった。

サッカーワールドカップで,オランダがアルゼンチンに PK 戦の末敗退した。キーパーを選手交代して PK 戦を制するという,凄まじい采配でベスト 4 に上がったオランダが PK 戦でファイナリストを逃すというのも,またひとつのドラマだった。その超一流たちの緊張感と敗北の哀愁を見守ったあとで,さらにまた一方で,天才ネイマールを壊したコロンビアのディフェンダーが家族もろとも復讐の脅迫に怯えているとの悲しいニュースを聞いたあとで,日本のプロ野球をみると,やっぱり日本人にはビール・枝豆片手ののほほんスポーツ観戦がいちばん合っていると思われ,その軽薄さが情けないやら,ほのぼのぶりにほっとするやらで複雑な心境になってしまう。今夜,東京ドームでの巨人 VS 阪神戦をテレビ観戦。サッカーの緊迫感と比べると軽い,軽い。地面から 3cm は浮いている。

ボチボチでんなどころではない絶好調マートンの,期待に違わぬ先制タイムリー。巨人だってすぐさま同点とし,さらに,ペンフィールドのホムンクルス(妻によれば)・阿部慎がホームランをかっとばして逆転。阪神も,抱かれたい阪神選手ナンバーワン(妻によれば)・鳥谷さまが内野ゴロをかっとばしてすぐに追いつく。

見物は 6 回表の阪神の攻撃だった。ボチボチでんなどころではない絶好調マートンの,やっぱり期待に違わぬ豪快レフトオーバー二塁打で阪神は 2 点勝ち越し。ここで,なんと,まったく打てない福留ではなくイキのいい今成に代えて,久しぶりに怪我から復帰した西岡のアットバット。ここで,原・巨人は,なんと,レフト亀井を内野に配置するという極端なシフトを敷いた。引っ掛けたスイングを視て外野に持って行く力量は西岡にまだ戻っていないと判断したのか。ところが,西岡は見事,外野手がレフトとライトだけ(左中翼手と右中翼手だけ?)になったところに,誰もいなくなったセンター方向に,フライを打ち上げ,これ,記録上何というのか,「左右間二塁打」とでもいうのか,通常ならただのへいへい,ぼんぼんなセンターフライが二塁打となり,ほぼダメ押しの 2 点追加。王シフトだの,マーチンシフトだの,いろいろあったけど,こんな極端なのは,はじめて見た。しかも奇策がまったくのウラに出た。面白かった。オッサン草野球でも見られないこんなシーンに,巨人ファンは憮然としたはずだ。面白かった。

その後も,よう打ってご免すのゴメスにツーラン,阪神顔(?)ルーキー捕手・梅野や上本にまでホームランが出,東京ドームというところはホント,ボールがよく飛ぶ球場だと感心。空調のおかげで空気が乾いているから飛ぶのだろうか? やっぱり台風 8 号が東京ドームに居座っていたからなのか? さらに,全打席バントでもいいくらいの貧打者・守備の人・大和さえ 4 の 3。(ここで,9 回表阪神の攻撃途中でテレビ中継が終了。軽い,軽い。その後,Yahoo 一球速報でフォロー)さらに,ありゃー,なんで試合に出られるのかさっぱりわからない,なぜか和田監督お気に入りの,今夜ただひとりしゅんとしていた福留さえもが,最後になんとか犠牲フライを打ち上げて,いまや誰もありがたがらない打点を上げた。巨人は出て来る投手皆がポカスカ打たれ,12 失点のサンドバック状態。それでも終わってみれば巨人も 13 安打 5 得点で,全体として打ち合いの大味なゲームだったわけだ。東京ドームの阪神ファンは大喜び。緊張感ゼロ。

明日,阪神は杉内に抑え込まれて 2-1 で負ける,というのが私の予想である。しかも,巨人の決勝点は能見(「点トリタニ」の鳥谷びいきの妻と異なり,俺目線では能見こそが抱かれたい阪神選手のナンバーワン)の押し出し四球,というのが私の予想である。しかも,9 回表,ワンナウト満塁のチャンスに年寄り福留が内野ゴロ・ゲッツーで試合終了,というのが私の予想である。無意味に大勝したあとに,接戦で競り負けるというのが,いつもの,われらが愛する阪神だからだ。阪神の首脳陣は,戦後の日本を象徴するかのごとく,実力の世界であるにもかかわらず,イキのいい若い選手よりも,輝かしい過去をもつダメな年寄り選手を使い続ける。で,ベンチがアホやから,ということになる。阪神ファンは,戦後の日本を象徴するかのごとく,自虐的にできているんである。