願はくは花の下にて春死なん

願はくは花の下にて春死なんその如月の望月の頃 — 西行。昨夜,会社からの帰り,満開の桜の木のもとを歩き,夕月が西空低くかかるのを看て,この歌がふと頭に浮かんで来た。西行は,思うに,北面武士という超エリートから出家した詩人らしいというか,ストレートかつストイックな作風が魅力である。この歌はとくにそう。西行は本当にこの歌のとおり如月十六の日に亡くなっているから凄い。

歌の解釈について,如月(二月)だから「梅」だなんて愚かな — というのも,自分の生活の通念がアタマにこびりついていて発信者の内在論理に思いを馳せることをしない,という意味で — ことをいう人がいる。旧暦は新暦とひと月半くらいずれるので,これが「桜花」だということに,何の疑問を差し挟む余地がない。

今年は,望月と満開の桜とが同居することはなさそうである。