ちびまる子の書き初め

昨夜の晩ご飯のとき,録画してあった『ちびまる子』を家族で観た。娘が大好きなんである。『まる子の書き初め』の話が面白かった。

課題は「おとし玉」。お手本を学校に忘れてしまったまる子は,姉の習字道具を借りて,手本なしに書き初めに挑む。「おとし」まで書いたら余白がない。先のことをあまり考えないで大らかに出てしまう性格の現われか。やり直す。できたと思ったら「おとし王」になっていて「玉」の点が足りない。モノを落として歩く王様を思い描いて,姉は大爆笑する。まる子はもう一度筆に墨して点を書こうとするが,「と」の横に滴りが二つ落ちてしまう。「おとし王」が「おどし王」になり,姉の頭のなかで,モノを落としていた王様が今度はおどろな怖い形相で威嚇しはじめ,姉はまたもや大笑い。まる子はそんな姉が面白くない。

「やっぱりお手本がないとだめだよなぁ」と,まる子はお爺ちゃんにお手本をお願いする。お爺ちゃんの書いた半紙をみると「をとし玉」。お爺ちゃんは古い世代だから旧仮名遣いらしい。だけど,おとし玉の「お」は旧仮名遣いでも「を」ではなく「お」のはずで,これも笑いを誘う。お爺ちゃんはお年玉の袋を手本にすりゃいいと教えてくれる。

学校で書き初めが貼り出される。小さくまとまったもの,字が暴れたもの,などなどが並んでいる。「お習字には人柄が出るよねぇ」とまる子の友達が作品をみて言い合う。「おとーむ,ってなんだよ? ははははは」。まる子の作品は,お年玉袋の草書体を手本にしたため,「し」が「ー」になり「玉」が「む」のような字体になったのであった。

この話は外国語に翻訳不能である。久しぶりに古典的な文字遊びを観た気がして,大いに受けた。