福岡ソフトバンク・ホークスが中日ドラゴンズとの日本シリーズ対戦で 8 年ぶりに日本プロ野球の頂点に輝いた。ホークス・ファンの皆様おめでとうございます。第 7 戦までもつれ込んだ今シリーズは,中日 2 連勝のあとソフトバンクが 3 連勝と,波のある闘いだったけれども,投打のバランスに秀でた後者が最終勝者となった。中日,相変わらず打てませんでしたなー。それでも,守り勝つ素晴らしいチームであるところを,日本シリーズでも見せつけてくれました。落合監督,渋い(中日といえば落合さんしか話題に上がらないところが,中日ドラゴンズの最大の不幸。落合さんのいない来年がどうなるのか,ホント楽しみである)。
それにしても。ここ最近のポスト・シーズンの盛り上がりの欠け様はいったい何なんだろうか。ジャイアンツやタイガースが出て来ないとダメなんだろうか。テレビの視聴率は過去最低ではなろうか。もちろん中部地方,北九州地方では大いに視聴率を稼いだんだろうけど,関東では 10% 程度ではなかったかと思う。ヘボなテレビドラマに負けててどうする。かつては日本シリーズならば平均視聴率 30% は当たり前だったのではないか。あの馬鹿馬鹿しい時間差中継で白けさせられた女子バレー・ワールドカップ中継よりも低視聴率だったのではないか。シリーズ中なのに巨人のアホみたいな内輪揉めのほうが注目度が高かった(「清武」って文字をみてサッカー日本代表をまずは思い浮かべてしまった私には,この笑劇が「ごく当然の成り行きで」元巨人球団代表・清武氏のクビで幕を閉じたのがまったく大笑いなんである。「コンプライアンス」も何も — ナベツネ会長が球団人事に口出しすることのどこにコンプライアンス上の問題があるのか私にはサッパリわからない —,企業の内情を記者会見で暴露するなんて,そもそも「会社のしくみ」というものが,ヘンな正義感の強い元新聞記者の清武氏には,どうやらわからなかったようである。この人,サラリーマンなのに誰にメシを喰わしてもらっていると思っていたんだろうか?)なんて,日本野球はスポーツというより芸能にどうも近い。
でも,この事態は感覚的に充分納得出来る。プロ野球の日本シリーズは出場チームのファン以外は少し冷めた感じで遠巻きにみているようなところがある。それに対し,サッカーやバレーの試合は,基本的に国際試合ばかりが放映され,何といってもナショナリズムを掻立ててくれるので,テレビ観戦に力も熱も入る。野球はサッカー,ラグビーなどと比べるとどうしようもなくダラダラしていて,サッカーのしびれる国際試合を見せつけられたあとでは,プロ野球選手が何故に J リーガー,なでしこリーガーの何十倍,何百倍もの高給を取っているのか,日本という国の不条理にクラクラしてしまうわけである。5 万人もの観客が応援に来ているってなかで目に入って来る阪神タイガースの「また明日があるさ」的ノホホンで,しょっちゅう怒り心頭に発している私なんかは,とくにそうなのである。
ま,国際試合で観客の関心を掻立てることのできないいまのプロ野球界のガラパゴス体質が続く限り,TPP が日本経済にもたらす影響と同じように,そのうちプロ野球の「既得権益」はサッカーに奪われて行くと私は思っている。毎年日米韓で真の「ワールド・シリーズ」を企画してほしいものである。国際的に弱いスポーツは国民の関心を失って行く — 日本のスポーツ界にもこういう TPP 現象が来ることを私は強く望んでいる。