秋の夜長に

秋の夜長にはやっぱりバッハがよい。無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ。あの長大なシャコンヌを含むニ短調パルティータがもっともよく知られていると思う。私はロ短調ソナタが好きである。アダージオとフーガが素晴らしい。これまで数え切れないほどの演奏家で聞いて来たが,やっぱりヘンリク・シェリングではないでしょうか。
 

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ(全曲)
ヘンリク・シェリング (Vln)
ユニバーサル ミュージック クラシック (2009-10-21)
 
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讀賣ジャイアンツ,CS ファイナルに進出しましたね。なんで関東ではテレビ中継で観られないの? 我が阪神タイガースは予想通り一笑,いや一勝も出来ず,ポストシーズンを終えました。これまで天王山でタイガースが勝ったことがありますか? 阪神球団経営陣もおそらく今度ばかりは怒っているはずである。なんで甲子園で 3 試合まで伸ばせへんのや,1 試合分の売り上げがパーやんけ。来年の給料減額! 阪神ファンの反応が私の明日の楽しみである。

阪神タイガースの選手の皆様,そうはいっても今年も楽しませてくれました。アニキが打てないで,球児が打たれて負けたんだったら,しようがない! 次こそやってくれるという期待感。これでもって,来年こそやってくれるはずである!...?
 

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産經新聞配信のニュース『小沢氏提訴『筋違い』 検審経験者』をみた。アマチュアたちによる恥のかき捨てが可能な密室での議決に基づく「強制起訴」というのも笑ってしまうけれども,この記事に出ている「2年前に審査員を経験した関東地方の男性(60)」(そうそう,かつてのアマチュアのひとり)のコメントも無責任なアマチュアぶりで面白い。

「行政訴訟という対処は筋が違う。小沢氏は今までの発言通り,刑事裁判で堂々と争えばいいのに,提訴は戦術としか思えない」そうである。「刑事裁判で堂々と争えばいい」なんて,ほとほと無責任な野郎だと思ってしまう。あの被告席に立つことがどういうことなのか,この幸せな人にはわからないようである。「告発事実になくても資料に載っていれば重視しなければならないと考えるのは当然だろう」だって? 「資料」で人を「告発」できると考えるこの抽象性豊かな人,ナマ身の人間の痛みがまるでわからないようである。法制度のアマチュアは同時に人権のアマチュアでもあるらしい。安っぽい正義感に駆られて検察審査員という立場を振りかざして,思い込みでしかない犯罪を誅してやると息巻いている。また,こんなバカな見解を掲載して権力にすり寄る産經新聞のバカさかげんにもうんざりする。産經は,この手の一般国民無名氏のナマの声と称して,好き勝手な記事を書いて,排外主義や政治家悪代官キャンペーンを煽るのが好きなんである。

最近の 50 〜 60 代の人間の常識・考え方というものに対して,私は徹底的に懐疑的である。上の 60 歳男性のように,安全なところからただのきれいごとしか言わない人があまりに多いように私には思われるからである。先日朝日新聞で読んだ「ホタル族耐えられない」大学教員(この女性も 60 歳である)などは,極めて有毒な排気ガスについては自分が車に乗るからかまったく問題にしないのに,己が害を被っている副流煙については人の一生をダメにすると息巻いている。言っていることは正論なのだが,自分の都合しか考えていないのではないかと思ってしまうのである。「自然はいいなぁ,大事にしなくてはいけない」なんて言いながら,木から毛虫が落ちて来たら気味悪がって人に始末させるタイプというか。新聞にそういう人たちの意見が採用されているのは深い意味がある。この人たちの考え方が世の中を支配しているということなのである。そして新聞もその潔癖性に染まっているらしいということのなのである。

私は菅首相,岡田幹事長,前原外相,etc., etc. がどんなに嫌いでも,この世の中を悪くしたのは政治家だなんて思わない。彼らがそれなりに命を賭けて働いていることを私は理解しており,その意味で,このバカ・ブログでどんな罵詈雑言を書こうが,やはり尊敬に値する人たちであって,感謝さえしているのである。本当に日本をダメにしたのは政治家ではなくて,いまの社会常識を蔓延させた 50 〜 60 代と,彼らの考え方を代弁するマスコミだと私は思っている。人は政治家の振る舞いなんかではなく,身近にいる先輩の言うことに左右されるんである。日本の復活は,政府財政含めて日本社会・経済が 90 年代のロシアのように一度崩壊し,50 〜 60 代のキレイゴト世代,そして彼らの悪影響に染まった私たち 40 代がくたばったあとで,いまの若い人たちが成し遂げてくれると信じている。日本は自分で自分の歩むべき道を決められないという近代史をもっている。政治家が政治力を発揮して国家を立て直すなんてありえない。中国や米国の振る舞いによって既成事実的に国家が瓦解しないとおそらく何も変わらないのである。終戦後,戦前の軍国主義者たちがパージされたように,私たち以上の世代は「キレイゴト甘チャン世代」としていずれパージされるだろうと私は思っている。