展覧会『シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い — 交錯する夢と前衛 ポンピドー・センター所蔵作品展』に行って来た。上野,東京藝術大学美術館。娘はシャガールが大好きで,この夏休みに必ず行こうと約束していたのである。お盆のためか,思った以上に空いていて,目を近づけて絵具の具合をゆっくりと丹念に確かめたりしても,周りの迷惑にならないくらいであった。
私はシャガールの 1930--40 年代の作品の暗い郷愁が好きであるが,『ロシアとロバとその他のものに』(1911 年)など革命前のキュビズム風時代の作品も魅力的であった。戦後の仕事では,彼が手がけたモーツァルト作曲・歌劇『魔笛』の舞台美術(1966--67 年)に強い印象を覚えた。タミーノやパパゲーノなど登場人物の衣装デザインや,背景幕,場面演出のスケッチの数々。こんな『魔笛』をぜひ観てみたい強い思いに駆られた。
同時に展示されていたナターリヤ・ゴンチャローワの『アレクセイ・クルチョーヌィフ『隠者たち,詩』のための挿絵版画』(1912 年),ミハイル・ラリオーノフの『タトリンの肖像』(1913 年)など,見応えのあるアヴァンギャルド絵画が多かった。
展覧会のあと,藝大アートプラザでスケッチブックや庄司さやかデザインによるクリアファイルなどを買い,上野広小路でハンバーガーを食い,アメ横を御徒町まで歩き,川崎に戻って娘の買い物に付き合い,お次は映画『インセプション』を観た。夢とうつつ,意識と無意識を等価に扱うところに,倒錯した面白みのある映画だった。
13,000 歩近く歩いた。疲れた。