新宿でロシア料理をいただく

息子の誕生日,クリスマス,ということで,今日は家族でロシア料理を食した。子供たちにはこれまでこんな贅沢はさせなかった。たまにはコース料理も食べさせてやろうということに。場所は,新宿西口にあるロシア料理店『スンガリー』。サーモンのブリヌイも,ボルシチも,シャシリクも旨かった。ロシア紅茶といっしょに出てきた薔薇瓣・木苺・チェリーのジャムはなかなかのものだった。ロシア製のジャムを味わうと,ジャム観が変わるはずである。日本製がただの子供のおやつに思われてくる。Балтика 3 番,6 番(それぞれラガー,スタウト)ビールは,甘ったるくてちょっと嗜好に合わなかった。アルメニアのコニャック «Арарат» を品書に見いだし,食指が動いたが今日は止めにした。

先日,爆笑問題が話題の学者の研究内容を紹介する NHK テレビ番組『ニッポンの教養』で,ロシア文学者亀山郁夫と爆笑問題がロシア料理店でドストエフスキイについて語り合うものがあった。妻によれば,今日行った店は,そのロケーションになった店の支店だったようである。

亀山先生といえば,私にとってフレーブニコフの専門家というイメージがかつては強かった。でも,いまやドストエフスキイの現代性を論じて,最近メディアでつとにお名前を目にするようになった。番組で私がもっとも感銘を受けたのは,インターネット時代の孤独な人間が PC の前に座ったときに捕われる「全能感」の問題提起である。亀山先生の言葉に私はどきりとした。人間は誰しも世界の片隅しか支配できない。ところが,インターネットで様々な情報を居ながらに得,匿名で偉そうな書き込みをしているうちに,なにか世界を手中にしたかのような幻想に捕われる。これを,ひとごとだと思ってはいけない。ロシア文学に全霊をかけて取り組んだ人は一種独特の文明批評に富んでいる,と改めて納得した。情報を知性ではなく魂で受けとめようとするのである。

聞き役の爆笑問題も,亀山先生を相手に堂々と会話を成り立たせているところ,また,タルコフスキイの『惑星ソラリス』が描いた未来世界のエコロジーについて語るところ,ただ者ではない。最近,高学歴お笑い芸人が話題になっているけれども,そういう「ただの優等生」とは決定的に違う風格を,太田は備えている。

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Utf82TeX-0912 を公開した。以前からあった -h オプション(^^16進形式変換)に変換対象としてキリル文字・ギリシア文字を追加した。ptetex3 がこの形式だと欧文で処理するという話に触発されたのである(昨日の記事に書いた Perl コード十数行で十分なのだけど)。あと,問題を訂正した。