日本ハム・リーグ制覇

日本ハム・ファイターズが今夜パ・リーグ優勝を決めた。ホームの札幌ドームだったので,ファンの喜びも一入だったはずである。夜 NHK テレビを点けると,日本ハムと西武の試合が放映されていた。NHK は抜け目ない。札幌ドームはレフト・スタンドもファイターズ・ファン一色だった。そう,こうでなくっちゃ。ちょうど,9番打者金子選手がツーランホームランをかっとばしたところだった。安定した投手力と,打線のどこからでもチャンスを作ることの出来る卒のなさとで,文句のない優勝であった。

札幌で学生時代を過ごしたころ(1980 年代)は,北海道の人々は皆ジャイアンツのファンであった。札幌の大学生は日本全国から集まって来る関係で,阪神,中日,西武,ヤクルト,大洋,南海などのファンが百家争鳴だったのに対し,地元の人はまず間違いなく巨人ファンであった。もう千篇一律。なにせ地元の球団はなし,テレビ中継といえば巨人戦しかなかった。可哀相なくらい。弱くても地元球団があることは野球ファンにとって仕合わせなことだと,私はしみじみと感じたのだった。私のような生まれも育ちも大阪で,幼いころから地元・阪神タイガースを応援してきた者からすれば,札幌にいて東京の強い球団を応援しているなんて,占領軍の言いなりになっているような屈辱に見えたのである。バイトでお客が「今日は巨人が負けたから,『プロ野球ニュース』(そういうテレビのスポーツ番組があったのである)の時間を気にしないで呑むぞ」と言うのを聞くにつけ,「可哀相な人達 ...」と思ったものである。事実,そのころの札幌は文化的にも東京の卑屈な追従者だったと思う(私の大学もそうではなかったか)。ニュースで漏れ聞こえる最近の北海道は,新自由主義による地域格差のあおりで,東京を呪詛しているのではないかと思う。そうそう,それでよいのである。

その北海道にも球団ができ,見事リーグ優勝を果たすまでになった。いまや北海道の人達は名実共に地元球団を応援でき,美酒に酔うことが出来る。札幌で青春時代を過ごした私にも感無量である(大学時代にも札幌へのプロ野球団招致の話があったように思う。当時はもしできるのなら,是非ホクレンがスポンサーとなってチーム名を「ホクレン北海道ベアーズ」にして欲しい,阪神ファンをやめてでも絶対応援する!と思ったものである)。おめでとうございます。

今年は日本ハムがリーグを制したわけだが,面白さからいってもパ・リーグのほうがセを圧倒していた。夢の 100 敗かと負の期待ばかりだった楽天が 2 位と健闘したし,1 位と最下位のゲーム差が 20 数ゲームしかなく全体として熾烈だったことがわかる。それに引き換え,セ・リーグでは,金でプレイヤーを集めた巨人の一人勝ち。2 位の中日はというと,CS 進出が確定するととたんにやる気なし,消化試合モードがありありと判って,球場に足を運んだファンをバカにした最低の球団ぶりを発揮している(WBC に選手を出さなかった,ある意味で尊敬に値する行動をとった中日に対し,ことファンを軽んじる試合をなすのは私は絶対に許せない。合理主義の徹底した名古屋人には気にならないのかも知れないけれど)。現在 3 位の阪神は首位との差がなんと 25 ゲームもあって,「熾烈な 3 位争い」。その 3 位も不調ヤクルトが自滅したおかげであって,復調したヤクルトに今週末ボコされて 4 位でシーズンを終えるはずである。パ・リーグにいたらオリックスと「熾烈な最下位争い」ではなかったか。だいたい負け越しておきながら CS 進出なんてお笑いぐさではないだろうか。そういう意味で私は CS ルールには大反対である。プロ野球にも,サッカーにおける J2 落ちのように実業団落ちなどがあっても面白いとすら思う。

そんなこんなで,やっぱり,日本ハム・ファイターズ,北海道の皆さん,優勝おめでとうございます。日本シリーズに駒を進めたとしても,金に糸目をつけなかった新自由主義的読売ジャイアンツにはおそらく敗れると思いますが,頑張って欲しいと思います。