お迎え・女の子が足でゴミを押さえつけるの図

火曜日は,中学三年生の娘の絵画教室。普段は妻が迎えに行くのだが,今日は町内会の会合があって都合が悪く,私が仕事を終えたあとにその役目を務めた。JR 鶴見駅から歩いて 10 分くらいの場所にそのアトリエがある。

20 時半に絵画教室に着いてロビーでぼっとしていた。そこへ,赤いシャツを着た,ボブ・ヘアスタイルの綺麗な娘さんが,教室のゴミを収集して廻っているのか,ゴミ袋を狭いロビーに運んで来た。ゴミ袋の口を締めようとするが,ゴミの量が多くて思うようにいかない。いきなりスカートから白い足をぬっと出してゴミ袋につっこみ,袋口に余裕を作ろうとゴミを踏みつけはじめた。私が代わってやるべきだったのかも知れなかった。

帰り,鶴見の駅前にある鹿島家という横浜家系のラーメン屋で娘と豚骨ラーメンと餃子を食べた。BOA の曲が店内に流れていた。「学校で BOA 人気なのか?」と私。「学校じゃタレントの話ばっか」—「どうせ,このクミッキー(註:ティーン雑誌の売れっ子モデル),超モレてなーい(註:「盛れてる」—「素敵!」という意味のギャル語),ってな話ばっかりなんだろ? お前らバカじゃね?」—「うるさいなぁ! そうそう,この前,小田原で酔っぱらいがケンカしてホームから落ちて電車に轢かれて死んだって事件,お父さん知ってる?」—「知らない」—「ハル×ちゃん,テレビのニュースで,それ見たんだって。で,バカな大人がいるんだなって話してたの。ところが,ハル×ちゃんのお父さんがそのあと,知り合いのお葬式に行くって会社休んだらしいの。それがね,小田原で酔っぱらってホームから落ちて電車に轢かれて死んだ人のお葬式だったって!」—「世の中狭いね」。

あのお洒落な赤いシャツの女の子のことも娘に聞いてみた。「赤い服を着て髪をおかっぱにしたかわいい子いたよね。あれ誰? 先生には見えなかったけど」—「ずいぶん前からいるけどよく知らない。前は生徒さんだったんだけど,今は教室のお手伝いしてるみたい」。画学生か。

「お父さん,子供のころ,夢ってあった?」といきなり娘が言う。「あったさ。野球の選手になりたかった。野球ばっかやってたからな。なのに高校に入ったら小説家になりたくなった。いい加減なものさ」—「いまは?」—「江戸川乱歩賞をとること」—「なにそれ?」—「ミステリーの文学賞」—「で,なんか努力してるの?」—「なんも。会社勤めで精一杯。そうだね,夢というのはそれに向かって努力しないと意味ないよね」—「じゃあ,そんなミステリー書いたらあたしが挿絵を描いて本のデザインしてあげるよ」。

帰宅して妻と四方山話。妻は今日午,近所の友人宅に遊びに行った。川崎市の地元高校,中学校の風評などが主たる話題だったらしい。「生田高校はお勉強,多摩高校はお遊び,百合丘高校は恋愛,なんだって。K さん,なんでそんなことに通じてんのかしら」—「そういう,学校の噂の好きな主婦って多いんじゃないの」。このちゃっかり美人の K 夫人,その父親は私の知っているくらいに有名な,本居宣長研究の第一人者とされる凄い学者であり,姉は NHK 朝の連続ドラマの脚本を書くくらいの売れっ子脚本家なんである。世の中狭いね。