年の瀬。暗い,暗い

今年ももう年末。いまいちの賞与。仕事だけはてんこ盛り。人並みに暮らしているだけありがたいと思うべきか。下の者はさらに下の者を見て安心感を覚えるという。暗い,暗い。

雨宮処凛 (元右翼活動家・パンクミュージシャンにして,いまや若者の貧困について問題提起する活動家・作家) の話によれば,いまの日本の労働者の 4 人に 1 人は年収 200 万以下なのだという。私レベルの生活様式から考えてすら,これでは結婚することも子育てすることも不安になってしまうというのも頷ける。さらにその低所得者は派遣就労者で,いつ一方的に解雇されてしまうかも知れず,雇用者から脅しに似た抑圧を受けているとも聞く。地域格差ゆえに都会に出稼ぎせざるをえないお父さん。ネットカフェを転々としてその日暮らしをする若者。ワーキングプア。若者の貧困。子供をきちんと育てられなくて,若者に元気がなくて,一国に未来があるはずがない。

それでも彼らは「自分のせいでこうなっている」と思い,あるいは「自分で選んだ道」と割り切り,「自己責任」を受入れているようである。日本の若者は,他人に寛容で自分に厳しいようである。弱き者はお互いなにかをシェアして共生するという手段もあると思うが,孤独を愛する若者が多いのか,皆独りで貧困に耐えている。一方で,こういう若者には疎外感に打ち拉がれて,いっそ世の中が壊れてしまえばよいと思う者もいるらしい。「北朝鮮を空爆しろ!」とかネットで息巻いているのはそんな若者なのか。秋葉原の無差別殺傷事件の容疑者も抑圧された派遣就労者だった。

北朝鮮拉致問題,金融不況,ドーハラウンド等々,面白くないことばかりである。しかも来年は米国政権がオバマ民主党に移行し,従軍慰安婦非難決議に見られるような歴史問題,経済摩擦問題,貿易不均衡問題などで日米関係さえも厳しい時代が再び訪れると思う。来年の衆議院選挙で自民党は負けると思う。なにより CHANGE の時代風潮である。小沢民主党が政権を獲得したらどうなるだろうか。信用ならない自民党,頼りない民主党。暗い,暗い。

こんな時代に誰がした?— 俺たちか? いま,サラリーマンの私には自分の仕事を必死にやって慎ましく生きるしかなさそうである。西鶴の句「世に住まば聞けと師走の砧かな」がいよいよ骨身に沁みる今日この頃である。