インドネシアの Dui さんという方からメールをもらった。芭蕉について研究しているそうで,「mondai wo sodan sitai」とのこと。なんで私にお書きになったのか疑問ではある。ローマ字の日本語文に普通の日本語文と英文とを付けて返信した。
* * *
フランス映画『インド夜想曲』の DVD を観た。1989 年,アラン・コルノー監督作品。最近のフランス映画はかつてのヌーベルバーグ,フィルム・ノワールの現代性を喪失してしまい,日本映画同様「つまらない」存在になってしまったようである。だけど--もう20年近く前の作品になってしまったとはいえ--この映画は久々のヒットかと思った。(日本映画はというと,サトウトシキのピンク映画などのほうがよっぽど現代日本人の身勝手さ,将来の閉塞感を表現していると感じるのは私だけだろうか)
モーリス・ブランショの「夜熟睡しない人間は多かれ少なかれ罪を犯している。彼らは何をするのか。夜を現存させているのだ」との題銘が映画でも引かれていた。眠りこけるインドのひとびとと分身を探し求める主人公。シューベルトの緩やかな五重奏曲。
アントニオ・タブッキの原作を読んだはずなのに,なんともストーリーを覚えておらず,ただ白昼と夜の幻想的彷徨という記憶ばかりが映画を観ながら甦って来た。「夜熟睡しない人間は多かれ少なかれ罪を犯している」— 眠れない夜の徒然のたわごともその罪のひとつか。