困った防衛大臣

自分のことを自分で決められない愚かな国に愚かな大臣がいる。Yahoo!ニュースの6.30付記事。「原爆を投下してくれてありがとう!」と受け取れる発言である。この発言は,ある意味で,問題の — 戦争終結も自分では決断できなかった日本政府の — 正鵠を突いている。これはしかしながら「米国に右へ倣え」の外交方針に忠実に従ったまでであって,防衛相ひとりが飛躍しているわけではないように思う。いったいいつまで「米国の使い走り先進国」気取りを続けるんだろうか,この国は。

ここに来て反日的動きを見せている米国の動向が気になる。米下院従軍慰安婦問題対日非難決議(日本で米国政府に対する「原爆投下非難決議案」が提案されるなんて夢にも思われないのだけど)への安倍内閣の対応に注目したい。「事実に反する」と息巻いているけれどどうなるんでしょう。事実かどうかより皆がどう判断するかが政治の核心なのにバカではないかと思ってしまう。結局米国の言いなりになるんではないだろうか。

現在中国や韓国は,米国に完全に外交方針を委ねている日本と異なって,独自の対米外交を繰り広げている。そのうち日本の戦争責任の追及に中国・韓国は米国をうまく利用するこの手段を常套化すると思われる。「日米同盟は揺るぎない」— 本当でしょうか。韓国は在韓米軍の引き上げをすでに国政の前提条件に置いている。日本政府よりもう少し遠くが見えているようですね。

この防衛相の問題発言も,本質の議論はすっ飛んで,大臣自身の舌禍として葬り去られると思われる。ミートボール社牛ミンチ偽装問題,国民年金問題がやたらと騒がしい。社会保険庁も普段遊んでいるわけではないのだから,別にボーナスを返上しなくたって,明らかになった問題の原因を落ち着いて検討し,そしてその解決策を打ち出してもらいたいと思う。なのに報道を見ていると,何をどうすれば問題が解決するのかを議論するより,問題の責任者への追及ばかりが目につくのには,マスコミも国民もどうかしているのではないかと思ってしまう。