カリフォルニア大学バークレイ校数学科教授 Mariusz Wodzicki さんから,数あるロシア語ハイフネーションパターンをエンコーディングに応じて切替えるコードを含む russianb.ldf についてメールをいただいた。ロシアの CyrTeX-ru users group のメーリングリストで,Wodzicki さんの投稿に,私がボロボロのロシア語でコメントを付けたところ,個別にメールでご挨拶をくれたのである。そのお名前,お仕事をインターネットで検索してみると,ポーランドの方のようである。UC バークレイ校というと,かの UNIX 4-BSD の生みの親,計算機科学のメッカのような大学である。そんな名門で教壇に立つ外国人教授を想像して,ちょっと感動してしまった。
私も,ロシア語ハイフネーションパターンとフォントエンコーディングを切替えることのできる russianb.ldf を公開している。私のものは,\selectruencoding{OT2 | T2A} という新しいインターフェースを提供するものであるのに対し,Wodzicki さんの試みは,既存のコントロールシーケンス \cyrillicencoding に設定した値によってハイフネーションパターンを切替える,よりシンプルなものである。私の方法では \selectlanguage を一度発行すればその中で OT2 と T2A の切替が可能である。一方,\cyrillicencoding による方法ではセットし直すつど \selectlanguage を発行する必要があるが,既存のインターフェースを使い回しているため,LCY エンコーディングへの対応も可能になっている。さすが頭のよいひとの戦術は違うと感心してしまった。
関心のある方は CyrTeX-ru@vsu.ru Mailing List Archive の Mariusz Wodzicki さんの投稿を参照。russian.ldf.extended.zip がダウンロードできる。