引用文献マクロ citare.sty 公開

昨日から LaTeX 引用文献マクロ・スタイルに手を入れていた。これはプーシキンの作品論の執筆のために作成したもの。文科系論文を作成するのに少しは役に立つと考えてもらえるひとがいればと,公開することにした。興味のある方は拙作ソフトウェアのダウンロード・ページ からアーカイブをダウンロードしてお試しいただきたい。

標準の LaTeX では参考文献を thebibliography 環境 bibitem 命令で記述し,\cite[オプション文字列]{文献キー} 命令で文献リファレンスをマークアップできる。出力は [文献番号, オプション文字列] となる。文科系の論文,学術書では引用出典を脚注で明示し,改めて参考文献一覧を末尾に掲げる形式が多いと思う。LaTeX 標準ではこれはできないし,インターネット・リソースをある程度検索しても,この様式で文献参照をサポートしたパッケージを見い出せなかったこともあり,自作した次第である。

同一文献を続けて引用する場合,直前ではないが以前に引用した文献である場合,言語によって「同書」,「ibid.」,「前掲書」,「op. cit.」などと略記したりする。Babel 環境を前提として,ドイツ語,ロシア語など選択言語を判断してこれを出力し分ける機能も入れた。文言のカスタマイズも,コントロールシーケンスを再定義すれば可能である。

もちろん論文の引用マナーは投稿規定に従う必要がある。本パッケージの出力がどこまでニーズに相応するか疑問ではある。ロシアの学術論文の例に合わせているので,スラヴ学研究者向けマクロという位置づけとした。