安部公房の音楽趣味

安部公房はオペラが大嫌いだったそうだ。美しい旋律の代表としてモーツァルトをも嫌っていたらしい。音楽はバロックや20世紀音楽が好みだったとか。ドナルド・キーンが「本物の天才」のエピソードとして書いていた。私にとっては興味深い話。

私は「才能」に焦がれていて,しかも無縁であるけど,安部のモーツァルトやオペラを嫌う感覚はよくわかる。私も学生のころモーツァルトは退屈だった。バッハと現代音楽が好きで,安部と全く方向性が同じではないか。今にして思えば私の場合はちょっとスノッブだったんだと思うけど。

西欧の豪華,絢爛,華麗,洗練よりも,むしろ簡素,荒涼,枯淡,無造作に惹かれる。でもこれは,花も紅葉もなかりけりという,日本人の趣味としては古来の伝統ではないか。

花はさかりに,月はくまなきをのみ見るものかは。(兼好)

調子悪い。今日は3時まで寝てしまった。それでも社会人かよ。