いよいよワールドカップモード

日本 VS コートジボワール戦まで一週間を切りましたね。いよいよですね。

コスタリカ,ザンビアとの強化試合では逆転勝ちした。サプライズ選出された大久保選手が試合終了間際に芸術的なトラップから決勝点をあげた。大久保のチョイスは間違いではなかったとファンも納得したかも知れない。んー。でもなー。

あのザルの守備は痛々しいくらいである。ザッケローニの目指す,コンパクトな布陣による攻撃的サッカーについて NHK の特集番組で解説があり,それによれば,この戦術はディフェンスラインを高く取ることにより空いたディフェンスのウラを取られるリスクと隣り合わせなのだそうだ。なるほど。でも,いまの点の取られ方は,そのリスクが表面化したというよりもむしろ,今野選手や内田選手の「やらかし」,要するにくだらないミスが,失点の原因のほとんどのように — 素人目には — 見える。こんなヒヤヒヤ守備じゃ,本番ではグループリーグ突破すら難しいように思われる。

ザンビア戦終了間際の大久保選手のゴールは確かにむちゃくちゃかっこよかった! でもなー。大久保選手は,代表では出場 57 試合でわずか 6 ゴールしか上げておらず(このザンビア戦のゴールを入れても),昔からわが代表に対して言われまくっている「決定力不足」の権化のようなフォワードであることを(ああ,大久保以外にも柳沢や鈴木や岡野やの顔がちらちらする...),ファンはみんな忘れているんじゃなかろうか。J リーグでどんなにゴールを量産していても,ワールドクラスのチームを相手にしての決定力には結びつかない。本田,香川,岡崎,柿谷のゴール数/代表試合数は,大久保選手の 0.1 に対して 0.3 〜 0.5 という高さなんである。10 試合に 1 ゴールあるかどうかの選手がザンビア戦で運を使い果たしてしまったことのほうを心配してしまうのは俺だけか? もちろん,彼(大久保選手)は昔の彼ならずってなこともあるし,実際のゲームではなにが起こるかわからないし,実績値・統計値は現実問題のなにも保証しない。またチームの勝利への貢献はゴールだけではない。

「大久保サプライズ選出」の発表に,大久保選手の奥様が感極まって号泣し,幼いお子さんたちも大喜びする様を YouTube で見た。こっちまでもらい泣きしそうになった。大久保選手は,日本代表のプライドのためではなく,この子たちの未来の希望のために活躍してくれ。

ところで。そうはいっても,1997 年の「ジョホールバルの歓喜」のころに比べて,わが日本代表はなんと強く逞しくなったことか。つくづく思う......。

「ジョホールバルの歓喜」となったイラン戦。夜中にひとりで観戦しながら「なにやってんだ,バカヤロー」を叫びまくっていた記憶のほうが,— もちろん,夢のワールドカップの舞台に日本人が立てるという喜びが最終的に爆発したわけだが — 俺にはありありと残っている。逆転されたあとフォワード・城選手のヘディングシュートで追いついた。「勝たなきゃいけない試合で残り時間が少ないのに,城くん,なんでただの同点ゴールの喜びに我を忘れて時間を浪費するのか! さっさとボールを戻して試合を再開させろ!」。延長サドンデスに入って岡野選手が投入されるも,決定力の決定的に不足したフォワードよろしく,シュートをフカすは,前に飛んでもキーパー正面だは,あげくの果てに,「最終兵器」として投入されながら決定機にシュートを打たずに横パスを出すはで,「なにやってんだ,このバカヤロー」のイライラで私は気が狂いそうだったのだ。結局,そんな岡野に呆れた中田ヒデ選手が強引に中央に持ち込んでシュートし,キーパーが弾いたところを岡野が流し込み,「ニッポン,フランスへ!」という幸福な結末となった。私は夜中に歓喜のあまり吠えた。でも一方で,これじゃ本番ではサンドバック国にしかならないという感覚にも襲われ,「2002 年自国開催で予選免除の初出場」なんて,情けない,恥ずかしい事態を免れたことに感謝するばかりだった。

己のおかれた状況がわからない城選手,フォワードのくせにシュートを打ちもしない岡野選手(ともに「ジョホールバルの歓喜」の英雄だ)を思い起こすたびに,2011 年ワールドカップ決勝で,後半残り時間わずかのところで米国に追いつくゴールを決めたあと,ゴールに転がったボールをニコリともせず取り上げさらに勝ち越すために早く試合を再開させようとセンターサークルに走り出した宮間選手の厳しい顔つきや,2 試合に 1 回はゴールネットを揺らしてくれる自称「ヘタクソ」の岡崎選手の努力とドロくさい決定力や,に思いを馳せると,ホント,いまの日本代表は,男女ともに,成果としても,精神的にも,プレー態度としても,誇り高いナショナルチームに成長したな,と嬉しくなってしまうのだ。また一方で,最近の韓国,オーストラリアのロングボール一辺倒の単調かつ退屈なサッカーを見よ。それに比べれば,わが日本代表のサッカーは確実に進化している。

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ま,サッカーファンはかくして選手をコキおろしたりあがめ立てたりと,勝手なものである。たとえ政治家としての安倍総理を罵倒しても,安倍さんが目の前におればやはり一個の優れた人間として尊敬と礼儀とをもって対するべきだと思う。それと同じで,ヘマを犯したり感心しないプレーをなすサッカー選手に対して「なにやってんだ,このバカヤロー」はありなんである。でも,人間としては成功してもらいたいと心から願っている。大久保選手にも,あの可愛い子供たちと奥さんのために,ワールドカップ本番で英雄になって欲しい。

カップのフチ子,ガンバレニッポンバージョン。ん,入浴姿のほうがよろし。