日本の排他的水域で大量のレアアース発見

今日朝の『ロシアの声』日本語版に,「日本で大量のレアアース発見」を伝える記事が出ていた。報知時刻が日本のメディアよりも半日くらい早かったのではないだろうか。『ロシアの声』によれば「東京大学の加藤泰浩教授が率いる研究チームが,日本の排他的経済水域海底で680万トン以上のレアメタル鉱床を発見した。専門家らによると,これは日本の年間消費量の230年分に相当する」。

2010 年 9 月に起こった尖閣諸島海域での中国漁船衝突事案において,中国がレアアースのカードを切ったことにより,日本政府がビビってウヤムヤのうちに幕を引いたのは記憶に新しい。資源に乏しい国の惨めさを味わわされた感があった。そこへこのニュース。「専門家ら」の推定が正しければ,ハイテク製品,すなわちメイド・イン・ジャパンの高い競争力を唯一保っている製品に欠くべからざるレアアースに関し,中国にキンタマを握られずにすむ道が拓けつつある,ということになる。日本は海洋国家であり,海洋資源にこそ生きる道を見出すべきという暗合のように私には思われた。

『ロシアの声』も「日本の主要レアメタル輸入国は中国。中国は世界のレアメタルの約90パーセントを産出しており,これを条件に『恐喝』できる状況が作り出された。日本で大量のレアメタルが発見されたことで,この状況が改善される可能性がある」と論じている。尖閣諸島問題を念頭に置いているのは明らかである。中国は,仲のよい「はず」のロシアからも,ヤクザ国家(「恐喝」国家)と見られているわけである。『ロシアの声』はロシア政府の広報メディアともいわれているだけに,この見方は面白い。日本人はロシア人を憎んでいるが,ロシア人は日本人が好きである。そして,なにより中国人を嫌っている。これは伝統である。政治体制の問題ではないのだ。日本人がロシアに行くと,自分が中国人ではなく日本人であることをまずアピールしなければならない。

私は『ロシアの声』で今般の原子力基本法改正を核兵器開発への障碍排除とする見方をはじめて読んだ。これは原子力基本法の目的に「我が国の安全保障に資すること」を付け加えるものだった。いったい民主党政権って何をやっているのだろうか。日本のマスコミは政治的観点において,海外については米国・西欧べったり(米国・西欧のことしか伝えないという意味ではなく,米国・西欧メディアの「見方」をやみくもに追従しているということ)で,国内については政局(目下の話題は「党内分裂の今後や如何に」)にばかり目を向けていて,真の地殻変動をきちんと報じていないのではないかという思いを強くする。海外で報道された日本に関するニュースも,目を通しておくべきだと思う次第。もちろん,『ロシアの声』もひとつの「見方」に過ぎないのだけれど。