今夏最大の話題である参院選の投票に行って来た。国民もバカじゃないんだから,昨年政権交代を実現させたのに 1 年も経たないうちに参院選でネジレさせるなんてないだろう,と私は思っていた。しかし私がバカでした。タコのパウル君以下です。
いまこの時点で,民主党は目標の 54 議席+アルファどころか 50 を大きく割り込む見通しである。私の住む神奈川県では,あの現職法務大臣・千葉景子さんが落選するかも知れない状況である。まぁ,千葉景子さんに限ってはこれでよい。民主党のくせに官僚の言いなりだった大臣が嫌われたのだと思いたい。石川議員を特捜部に逮捕させ,取調可視化法案を放置し,記者クラブを温存し,自民党とまったく変わりのない不作為ぶりだった。ざまぁ見やがれ。今度はこの人が「政治とカネ」問題で騒がれるとホント面白いんだけど(クリーンであることだけは確かなようなので,これは考えられません)。え? 比例で復活当選するってか? 冗談じゃありません。
ところで,思うに,民主党は今回の選挙で,自民党というよりはマスコミの報道によって迷走させられた。「消費税」のキーワードを持ち出したとたんに,選挙後ただちに増税法案審議に入るかのようなニセ印象をマスコミに焚き付けられてしまった。「消費増税」が争点になってしまえば,反対派を増長させるのは当然である。民主党執行部がマスコミ対策に手を抜いたからに違いない。そして,それを否定すればする程「また民主党のあのブレまくり発言か」と揶揄され,悪循環。そのために敗れた。日本国民は,自民党の愚にもつかない「いちばん」幻想に騙されたというより,マスコミに操られたというのが正解のように私は思う。
いずれにせよ。またもやネジレ国会。これこそいちばん私の憂慮していたことである。野党はただただ反発のための反発に終始し,法案がなかなか可決せず,つまらないことが政局になり,事態が紛糾することになる。その間にいよいよ雇用・福祉問題,税制改革が宙ぶらりんにされ,首相はまたもや 1 年持たず,という事態になりそうである。自民と民主はどちらも保守であって,政治思想は(ない,という意味で)あまり変わらないのになんでこういうことになるのか。国民は自家中毒させられているとしか思われない。政権を安定させるのが麻生自民政権のころからいちばん大事なことなのに,どうして民意は自分で自分の首を絞めるような方向に働くのか。本当はいったい誰がブレているのか。国民自身だと言わざるをえない。それが民主主義だとすれば仕方がない。
日本の政治はこうして全世界の笑い者になり,国税は官僚の思い通りに無駄遣いされ,国の借金が増えて行く。中国の日本国債保有率が欧州の経済不安のおかげで着実に増えているそうですよ。日本政府が自浄能力に決定的に欠けるおかげで,中国政府に養われてる度合いが増えているわけである。レナウン株買収などにも見られるように,いま中国による日本買いが盛んになって来ているのである。あ,わかりました! 日本の国民の期待は,次は米国政府だけではなく中国政府にも仕切っていただければよろしい,ということなんだろうか。ジャイアン頼みのスネオのような日本政府。なんか,あるとき突然死するんじゃなかろうか。
自民党はまた小泉劇場政治の路線を復活し,地方の土建屋に金を落とし,大企業の原価低減に有利な雇用政策を推進し,新自由主義的政策を徹底してほしい。なぜなら国民自らが,今回の選挙でそれを望んでいるという意志を,あの日本をダメにした自民党にもう一度やらせたいという意志を,早々に示したのだから。大企業の一員である私個人にとっても,じつはそのほうがわが社が儲かるのでありがたい。私もリヴァイアサンに徹するぞ。仕事がなくて生活に困っている人たちのことなど気にしていられるか。そういう人たちは食うに困って「自己責任で」勝手に犯罪に走ればよい。—— ってか? んなわけないよね。
※ 7.14 付記
その後,結果は民主惨敗。「みんなの党」が大躍進した。「みんなの」というからには,つまり誰のものでもない,ということなのに。いや,これは「全体主義」ということか? いったい何なんだ? 世間はどうもカリスマ二世議員が好きらしい。いやな世の中になりつつあるとつくづく思う。
とはいえ,今回の結果はやはり国民の正しい選択だと思いたい。政治は選挙を唯一の正当さの根拠となすべきなのだから。となると,民主党は 9 月の代表選挙で新しい代表を選ぶということになれば,衆議院を解散し,改めて民主党政権の正当性を国民に問うべきではないだろうか。それで再び民主党が勝つのなら,ネジレに臆せず政策を果敢に実行する根拠が与えられるし,負けるのならそれはそれで国会が正常化して政治の停滞を少しは免れる。なによりネジレが続くのだけは勘弁してほしい。