OldSlav UTF-8 その後

教会スラヴ語聖書を手に入れてから,このところ教会スラヴ語 LaTeX パッケージ OldSlav の UTF-8 対応に血道をあげている。先日はまだアクセント付加文字をグルーピングすると不具合が発生する状況だったが,今日その課題が解決した。

この OldSlav utf8 モードは土村さんの pLaTeX UTF-8 対応では使用できない。土村さんの ptetex はキリル文字を JISX-0208 に化かしてしまうので,もとよりロシア語も欧文として取り扱うことができず,日本語フォントにあるキリル文字が組まれてしまう。utf8 モードで教会スラヴ語を組みたい場合,ttk さんの upLaTeX か,もしくは pdfLaTeX(これは欧文純正なので日本語混在組版は CJK パッケージを使う)の環境が必要である。角藤先生配布のパッケージにも upLaTeX が含まれているので Windows ユーザにも使えるはずである(試験はしていない)。

教会スラヴ語聖書を眺めていて,SlavTeX フォントにはない略号符(титло という。単語の綴りの一部を省略することを示す記号。頻出する語でよく用いられた)を見つけた。それは ч の文字 титло。UTF-8 対応パッケージを公開したら,次は METAFONT でこのアクセント文字を自作して,SlavTeX フォントに組み入れようかと考えている。

※ 12/24 追記: OldSlav UTF-8 その後のその後

ptetex3 では UTF-8 キリル文字が欧文として使用できない,ということについて作者である土村さんから指摘があった。原稿に書いたキリル文字,ギリシア文字はそのままでは欧文として扱われないのは,互換性維持というポリシーでそうせざるを得なかった,欧文としてキリル文字・ギリシア文字を取り扱いたければ ^^十六進形式にすればよい,とのことだった。この場を借りて訂正しておく。

Utf82TeX-0912 で -h オプションを指定すればキリル文字・ギリシア文字を^^十六進形式に変換するようにしたので,utf82tex -h 原稿.tex > 原稿.utf; platex --kanji=utf8 原稿.utf とでもすれば,ptetex3 でもキリル文字・ギリシア文字がきちんと欧文として処理される。OldSlav に関しても inhibitslavactive, utf8, ptetex 3 オプションを併記すれば,ptetex3 でも UTF-8 で組めるようにした。