義父母・義兄夫婦と食事

三連休,妻の父母と過ごした。本好きの義父を連れて,川崎駅周辺の本屋を案内したりした。娘のバレーボールの練習を観に行ったり,歩き回って,義父母はかなり疲れたのではないかと思う。

子供たちもおじいちゃん,おばあちゃんが来るのをいつも楽しみにしている。年配のひとの話は,田舎の誰々が死んだ,あのひとはいまこんなことやっている,といった話題が多いわけだけど,昔の思い出話は子供たちも興味深く聴いている。親戚のあるひとが戦争に行った話。突撃のとき「右行け,左行け」という母親の声に従って突進し,生還したそうである。身内から出て来るこういう逸話は,書物にはない畏怖すべきリアリティに充ちている。いまの若いひとは老人の昔の話を聞く環境にない — これこそがそれぞれの世代を不幸にしているのだと思う。

金曜日の夜,義兄の招待でおじいちゃん・おばあちゃん,義兄夫婦,うちの家族四人でお食事会があった。日本橋の高層ビル・三井タワー,マンダリン・オリエンタル東京にある『ヴェンタリオ』というイタリア・レストラン。質素極まりない我が家なぞにはあまり縁のないであろう,瀟酒な吹抜けのあるハイカラなお店であった。オードブル,パスタ,メインディッシュ,デザートはいずれもバイキング方式で,お好みの品を好きなだけ取って頂くことが出来た。珍しいイタリアン・ピルスナー,モレッティ BIRRA MORETTI を呑んだ。うーむ,日本の生ビールのほうが上か。

義兄は何冊も著書のある有名な精神科医である。いつも著書を「謹呈」してくれる。専門の青少年精神病理学に関する啓蒙活動のほか,アニメなどのサブカルチャーや文芸作品についての評論も注目されている。テレビ,講演など書籍メディア以外でも大活躍なんである。四月からは朝日新聞の書評欄を担当するとのこと。朝日の書評欄は定評があるだけに,私は義兄の確かな目が権威づけられたのだとの感銘を受けた。素晴らしい。