SCIM でロシア語入力

これまで Firefox 上で日本語を入力するのに Wnn7 を利用していた。ロシア語については Wnn7 Xwnmo のローマ字入力定義を変更して EUC で入力できるようにしていた。EUC キリル文字は検索エンジンなどでは Unicode と同様に処理されるのである。それでもドイツ語やフランス語のアクセント付き文字,多言語一般の入力はいかんともしがたいのだった。

このたび SCIM をインストールしてみた。ports を使い /usr/ports/japanese/scim-anthy と /usr/ports/textproc/scim-m17n のディレクトリにおいて make install clean 一発で導入可能である。かつては FreeBSD は SCIM のプロトコルに対応していなかったと記憶する。Xorg 7.3 になって動作するようになったようだ。

日本語入力は Anthy で仮名漢字変換が可能である。フリーソフトウェアなので ATOK などと比べると辞書はヘボいに違いないと思う。多国語入力もロシア語,ヨーロッパ諸言語はもちろんインド系諸語やアラビア語,ヘブライ語などのさまざまな言語をサポートしている。古典ギリシア語はないようである。

SCIM は,これを使用するアプリケーションに先立って,scim -d を実行してデーモンとして起動しておく。私が端末としてもっぱら使用している Eterm は残念ながら UTF-8 をサポートしていないため,こちらは EUC-JP ロケールのまま Wnn7 の使用を継続し,SCIM は Firefox のみで使うようにした。この場合ロケールと IM プロトコルとを個別に設定する必要があり,端末から Firefox を起動するには,env LANG=ja_JP.UTF-8 LC_ALL=ja_JP.UTF-8 XMODIFIRES='@im=SCIM' firefox & とする。いちいちこの長いコマンド文字列をタイプするのは億劫なので,Alias や gkrellm ランチャ,Enlightenment アプリケーションメニューに登録して簡単に起動できるようにしておく。

Ctrl+Space キー操作で SCIM Anthy 日本語入力モードに切替えることができる。Anthy のアイコンをクリックすると言語入力メソッド一覧が表示される。ここで好みのキーボードレイアウトに応じたロシア語入力メソッド (ここでは ru-yawerty) を選択すると,ロシア語の入力が可能となる。

scim-jp-ru.png

SCIM の設定は,SCIM アイコン上で右クリックしメニューから選択するか,もしくは scim-setup コマンドで設定画面を起動して行う。言語入力メソッド選択メニューがあまりに賑やかだと効率を落とすので,設定画面で通常使用する言語のみ一覧に現われるようにカスタマイズしておくのがよい。ショートカットを登録して言語切替えキー操作を素早くできるようにしておく。言語の有効化/無効化を設定後,SCIM を再起動する必要がある。

scim-lang.png

これで FreeBSD においても Mac OS X と同様に多国語インプットメソッドが利用できるようになった。

文書作成での私の文房具である Emacs では,相変わらず従来の Quail インプットメソッドを利用している。こちらのほうが多言語入力はお手のもので,古典ギリシア語,教会スラヴ語もばっちりなのである。日本語入力も Wnn7-tamago でそんなに困らない。Unicode コードポイントで入力するインタフェースも備えている。

ところでついでながらだけれども,Mac OS X Tiger の多国語インプットメソッドにはつまらないバグがある。ドイツ語,フランス語に切替えた後,英字 (A) にしてもキーボード配列が戻らない。US 配列 Mac キーボードの刻印どおりに文字が出ないのである。通常の JIS 配列キーボードをお使いの方も事情は変わらないと思う。このバグはなかなか直らない。結構困っているひとがいると思うのだが。Apple のバグフィックスのとろさには呆れる。こういうところが Microsoft や Linux の後塵を拝する要因のひとつではないだろうか。(それでも私は BSD Mac が好きなんだけど...)