フォントのアウトライン取得

TeX のタイプセット結果 dvi をフォント埋め込み PDF に変換すると,ときおりフォントが文字化けすることがある。MonTeX ウイグル文字 Type1 フォントを埋め込んだ PDF がイメージセッターで化けた例を私は知っている。Adobe Reader 8 の抽出失敗問題に見る現象もそのひとつといえる。

また TeX-dvips で作成した EPS を Adobe Illustrator などで開くと,Type1 フォントが参照できず正しく表示できないことがある。TeX の数式フォントもこの範疇に属する。

このようなときには Ghostscript epswrite デバイスを利用することによりフォントをアウトライン化してベクトル画像として EPS に取り込む手段がある。つまりこうして生成した EPS ファイルを \includegraphics 命令で TeX 文書に挿入したり,Illustrator で編集するわけである。その手順を以下に示す。この方法は三重大学の奥村先生に教えていただいた。

まず,取り込みたい TeX 原稿 (ウイグル文字の例) を以下のように準備する。ウイグル文字のテキストボックスだけが切り出されるようにするため,\pagestyle{empty} を指定するところがポイントである。

% montex.tex ウイグル文字左→右縦書き例〜稲垣さんのコードを拝借。
\documentclass[12pt]{tarticle}
\usepackage{mls}% MonTeX
\usepackage{LRtate}% by iNOUEさん
\setlength{\textwidth}{320pt}%
\pagestyle{empty}%
\begin{document}
\begin{LRtate}
\tbaselineshift0pt%
\SetDocumentEncodingBicig%
\noindent%
17||18 d'ugar zagun-u munggul-un neiigem, ulus tuiru, shasin-u
uiiles-tu, ilangguy=a uralig-un kuikzil-du uncugui ekurge
kuiicedgeksen uindur gegen zanabazar, cingkis xagan-u aldan
urug-un izagur surbulzidan abadai saiin nuyan xan-u kuiutuisiyedu 
xan gumbudurzi-yin ger-tu 1635 un-du tuiruksen.
\end{LRtate}
\end{document}

これをコンパイルし,dvi ファイルを dvips で EPS に変換する。コンパイルには MonTeX,iNOUE さんの LRtate.sty が必要である。MonTeX の Type1 フォントも利用可能になっていなければならない。

% platex montex
% dvips -E -D 10000 montex.dvi -o montex.eps

次に,Ghostscript epswrite デバイスでアウトライン化を施す。

% gs -dNOPAUSE -dBATCH -sDEVICE=epswrite \
  -sOutputFile=uol.eps montex.eps

同様の方法でアウトライン化した数式とともに,Illustrator で開いた状態を次の図に示す。文字,数式はいまやベクトル画像であって,形式に相応した Illustrator 編集操作が可能になる。ロゴ作成などに応用できる。

outline.png

TeX 原稿にこれらのアウトライン化した EPS を graphicx パッケージ \includegraphics 命令で挿入してもよい。PDF を生成すると,ウイグル文字も数式もベクトル画像として埋め込まれる。文書プロパティを確認すると,フォントとしては扱われていないことが分る (下図のとおり,和文に使用した IPA フォントしか現われない)。

pdfproperty.png