『UNIX MAGAZINE』季刊になる

今日,私は出勤だったこともあり,妻に頼んでアスキーの『UNIX MAGAZINE』,通称ユニマガを買ってきてもらった。この4月号から季刊になったようである。実は最近,ユニマガについて,価格が220円上がったのも不満ではあるが,いまひとつ面白くないと感じていたのである。読者が減っているようである。ここのところ,読む目的がいまひとつわからない構築事例風の記事が多いように思う。Linux のブートプロセスのハックなどはテーマが特殊すぎやしないか。UNIX やネットワーキングのツールを主題にした玄人向け利用術やプログラミングテクニックなどの話題がユニマガの真骨頂なのにと思っていたところだった。

私は 93 年 5 月号から欠かさずユニマガを購読してきた。ちょうどそのころ IBM-PC/AT がブレイクしたころで,DOS/V マガジンなど PC 系雑誌もよく読んだものだが,ハードウェア一辺倒なのに嫌気がさして,間もなく定期購読をやめてしまった。これに対し,ユニマガだけはネットワークやインターネット・アプリケーション,Emacs,TeX,FreeBSD など,今日の私の技術素養を養ってくれたのである。公衆回線を使う PPP 通信の実現など,『日経ネットワーク』のようなビジネス色の強い雑誌では得られない,具体性を指向した生きた知識を授けてくれた。

大学の計算機科学専攻の助教授やソフトウェアメーカの第一線プログラマがユニマガに寄稿している。共立出版の『Bit』ほどハイブロウではないが,専門的なレベルを堅持しつつ,かつあんまりオタク臭がない良質の話題を取り上げる。趣味と仕事,研究との双方で有益なテーマについて必要な知識分量を適度な回数からなる連載で纏めあげる。TeX の便利なスタイル・パッケージや Mule の多言語操作を早くから紹介していたのもユニマガの特色だと思う。とくに 94 年には METAFONT や DVIWARE などの高度な TeX 特集が組まれ,そこで私は TeX のフォントやマクロの概念を理解したものである。最近も pTeX の設計者であるアスキーの中野氏による記事を掲載するなど,内容の確かさにおいて他の雑誌とは一線を画している。

ユニマガの扱うテーマは,掲載の三年後に自分の仕事,趣味で使う場面に到り,遡って記事を読み返したようなものが多々ある。いまちょっとなあと思っている記事や特集がそのうち有用になるかもしれない。ユニマガとはそんな雑誌なのである。月刊から季刊になったのは,私の生活のリズムが狂うようで少し寂しい。どうか廃刊に追い込まれないように祈る。

これは UNIX MAGAZINE 創刊号 (1986年11月号) から 2006 年 4 月号までのほぼすべての記事を,PDF で閲覧できるメモリアル・アーカイブである。うーむ,でもやっぱり冊子体のほうがいいなー。