何故に UNIX かという議論をここで行うつもりはありません。 パーソナルコンピュータ上でロシア語を扱う方法については、 Windows や Macintosh プラットフォームに関しては、 様々な方々の努力で広く知られているのに対し、 UNIX システムを主題とした例は日本語では稀であってみれば、 私のこの試みも無意味ではないのではないかと思い公開するものです。
記述しているソフトウェアは 主に FreeBSD 3.x オペレーティングシステムを前提としていますが、 ソフトウェアのバイナリコードの生成及び格納にかかわる部分を除き、 Linux などのその他の PC-UNIX でもある程度通用するものと思います。
記述内容は概ね以下のとおりです。
X Window System/シェル環境 | ・X Window System においてロシア語
(キリル文字) を扱う方法
・仮想端末 (xterm) で直接キリル文字を入力・表示する方法 |
マルチリンガル・テキストエディタ Mule | ・ロシア語を中心に、
マルチリンガル (多言語、多国語) - X Window System
のマルチリンガルテキスト形式である Compound Text や ISO 8859-5 -
でテキスト編集を行うための環境設定の方法
・Quail 入力パッケージでロシア語を入力する方法 ・xmbdfed フォントエディタでキリル文字を修正し、これを Mule で利用する方法 |
スペルチェッカ Ispell | ・ロシア語辞書の入手とその構築方法 |
文書処理 (LATEX) | ・BABEL マルチリンガル・パッケージとその構築
方法
・ロシア語、ギリシア語、西欧・東欧・北欧で用いられている文字の他、 IPA (国際発声記号)の TEX 用フォントの作成方法 ・楽譜を扱う MusiXTEX の簡単な紹介 |
印刷 | ・Ghostscript、VFlib、Dvipsk を用いて、 PostScript 形式の LATEX多言語文書を印刷するための方法 |
ドローイングツール Tgif | ・図版を作成するツールである Tgif においてロシア語テキストを挿入する方法 |
ペイントツール Gimp | ・イメージ操作、フォトレタッチ ツールである Gimp においてロシア語テキストを挿入する方法 |
コード変換 | ・translit コード変換ツールによる主な ロシア語キャラクタコードの変換 |
単語統計 | ・ロシア語、日本語などが混在した多言語テキストを対象に 単語の統計分析を行うツール staslova の紹介 |
その他 Tips | ・LATEX 文書を HTML に変換するツール
LATEX2HTML においてロシア文字を文書中に挿入する方法
・ISO 8859-X テキストを Compound Text に整形したり、 これらテキスト中のロシア語を LATEX のトランスクリプションに 変換したりするツール uso2022 の紹介 ・Netscape Navigator でアクセスした KOI8 ロシア語の Web ページを印刷する方法 |
Windows での実行 | ・Mule の Windows 移植版である
Meadow の紹介
・Cygwinを利用して、staslova、uso2022 を Windows 上で実行する方法 |
本文の記述において、ロシア語、スラヴ語、ロシア文字、キリル文字、 スラヴ文字などのことばをほぼ同義的に用いており、 ある意味でだらしなくもありますが、ご理解戴けるものと考えます。
計算機の取扱については、ある程度 UNIX を操作できる方を想定しており、 cp、cd などの基本コマンドや「シェル」、「ファイル」、 「ユーザ」などの意味については、 すでにご存知であるものとしています。 UNIX や FreeBSD の基本的概念・利用方法については、 私のお勧めの参考文献 ([2,3,4]) をあげていますのでそちらを参照ください。
スラヴ学研究のみならず文学・言語学研究一般に計算機を利用したいと考える 研究者にとって有益であることを望んでいます。 内容は私が趣味で研究した結果ですので、独断と偏見に満ちたものであったり、 誤りも含まれるかもしれません。 コンピュータ業界の進展は極めて激しく、 記述内容が急速に古びていくこともご理解ください。 「これはもっとよい方法がある」「これは間違っている!」などご意見・ ご指摘があれば、電子メールでぜひご教示ください。
本内容による運用結果はいかなるものであれ作者及びその関係機関・ 関係者は責任を負いません。 またいかなる保証もいたしません。
本文において言及されているハードウェアやソフトウェアなどの固有名詞は 商標または登録商標ですが (TM) や (R) は示していません。 あらかじめご了承ください。
なお、本文中コマンドの入力の記述における ``#'' 及び ``%'' は、 それぞれ root 及び一般ユーザの tcsh シェルプロンプトを示しています。 ``#'' に続くコマンドラインの記述は、 root 権限で実行しなければならないことを意図しています。