misima-2.3 インストール
since Aug. 22 2006
人間の精神には,今ここに流通する言葉から抜け出したいという欲求がある.
— 水村美苗
   

概要

 

misima 旧仮名遣い・旧字変換支援 Ver.2.3 は,現代仮名遣い・新字による UTF-8 テキストを旧仮名遣い・旧字テキストに変換するプログラムである.多言語文字を TeX 形式に変換する機能も有している.本パッケージは misima 関連のソフトウェア一式である.本文書はパッケージのインストール,利用方法について示す. なお,本パッケージのインストールは UNIX を前提としており,本説明も UNIX ユーザを対象としている.

misima は変換機能を実行する (1) Perl プログラム本体及び辞書と,これをコールして Web ブラウザからのアクセスを処理する (2) CGI プログラム,SOAP WebService のフレームワーク上で misima を制御する (3) SOAP サーバ,(4) WebService Java クライアント,Microsoft Word クライアントからなる.その他,辞書を管理したり TeX コンパイルを支援したりするためのいくつかのユーティリティ,Emacs Lisp を含んでいる.

Microsoft Word から misima SOAP サーバを利用する方法については「Microsoft Word から『misima 旧仮名・旧字変換』を使う」を参照のこと.

最新版は http://yasuda.homeip.net/​dl/​dl.html からダウンロードできる.また作者のサイト http://yasuda.homeip.net/ に本ドキュメント,パッケージに関する最新情報を掲載する場合がある.その場合は本文書の記述よりもこちらを優先としていただきたい.

本文書で述べるインストール方法のみならず利用方法・仕様詳細を含む総合ドキュメントを公開しているので,そちらを参照いただいてもよい.

パッケージ提供リソース概略は以下のとおり.

リソース 内容概略
README README(インストール手順など)
Makefile     インストール用 Makefile
module/ プログラム本体,CGI モジュール,管理ツール
dic/ misima 辞書,TeX 変換テーブル
dic/chasen 茶筌用ユーザ辞書
dic/contrib 拡張変換テーブル
env/ 環境管理ファイル
html/ Web フォーム(プロトタイプ)
doc/ 機能説明ドキュメント,TeX サンプル文書
elisp/ Emacs 用 Elisp
soap/ SOAP WebService 用リソース
soap/src SOAP サーバ/クライアント Java ソース
soap/conf デプロイ用イソース
soap/tools Java クライアントラッパー,SOAP 用 Elisp,Microsoft Word クライアント

機能概要

 

misima がサポートする機能,仕様,注意事項については,添付 html/​misimadoc.​html, html/​misima.​html を参照のこと.

コマンドライン
書式

 

misima は標準入力から UTF-8 テキストを読み込み,標準出力に変換後の UTF-8 テキストを,標準エラー出力にエラー情報を書き出す.リダイレクトの使用を想定している.そのコマンドラインの指定書式を以下に示す.

misima [ -k|-y|-i|-t|-n|-q|-d|-s {cjhuam}|-x <kufxrtThia>|
         -c {KCT}|-m {ht}|-r "rcfile" ]
	

- [ ] 内は省略可能である.
-  |  で区切られたパラメータは同時指定が可能である.
- < > 内は前置オプションが指定されたとき,いずれかを必ず指定する.複数可.
- { } 内は前置オプションが指定されたとき,いずれかを必ず指定する.

  -k     旧仮名変換を行う.
  -y     用語・用字変換を行う.
  -i     繰り返し文字変換を行う.
  -t     単純変換を行う.
  -n     仮名反転変換を行う.
  -s     オプションにより旧字変換を行う.
      c    UTF-8 コード
      j    JIS第一・第二水準範囲内
      h    HTML 数値参照
      u    TeX OTF package UTF-8 数値参照
      a    TeX OTF package CID 参照
      m    TeX 今昔文字鏡 package 大漢和文字番号参照
  -x     オプションにより TeX 変換を行う.
      k    漢文訓点変換
      u    Cyrillic, Latin, Greek 
      f    強制変換
      x    拡張変換表使用
      r    Cyrillic  T2A 変換
      t    タイ語単語境界マーキング,TIS-620 十六進数変換
      T    タイ語単語境界マーキング,UTF-8 出力
      h    UTF-8 十六進数変換
      i    繰り返し表現くの字点変換
      a    kui に同じ
  -c     JIS \UTFx 変換
      K    \UTFK(韓国語)
      C    \UTFC(中文簡体字)
      T    \UTFT(中文繁体字)
  -m     マーキング
      h    HTML tags
      t    TeX control sequence
  -q     致命的エラー以外抑止
  -d     デバッグ(形態素解析結果トレース)
  -r  "rcfile"  RC ファイル指定 (default: $HOME/.misimarc)
	

動作環境

 

misima をインストール,実行するための前提動作環境を以下に示す.

  1. Perl 5.8.0 以上 (Unicode サポート版) が必要である. Mac OS X Tiger 10.4, FreeBSD 6.2-RELEASE にて動作確認を行っている. Windows での動作は保証されない. Linux では動作すると考えられるが,確認していない.
  2. 日本語形態素解析ソフトウェア『茶筌』 Chasen 2.3.3, 同辞書 Ipadic 2.7.0 以降が事前にインストールされていなければならない.
  3. ChaSen perl モジュールが使用可能でなければならない.『茶筌』のインストールについてはパッケージ添付のドキュメントを参照.
  4. 茶筌辞書 (ipadic) は UTF-8 エンコーディングで作成されていなければならない.辞書ファイル一式を EUC-JP から UTF-8 にコード変換し, makemat -i w, makeda -i w で UTF-8 辞書を作成すればよい.Ipadic UTF-8 辞書の作成方法は http://chasen.naist.jp/​hiki/​ChaSen/​?FAQ を参照のこと.以下インストール手順にもコマンド発行の流れを示している.
  5. Emacs から利用するための Elisp を利用する場合,Emacs 21.3 以降 (+ Mule-UCS) もしくは Emacs 22.0.50 を予めインストールしている必要がある. Unicode フォントも利用可能にしておく.
  6. ブラウザからの指示で実行できる Web CGI モジュールを添付している.これを利用するためには HTTP 1.1 をサポートした HTTPD が必要である.作者は Apache-2 で確認している.
  7. -x t|T オプション(タイ語 TeX 変換)を使用する場合,タイ語単語境界マーキングプログラム swath 及びコード変換ユーティリティ iconv が予めインストールされていなければならない. swath については「CJK,Unicode パッケージ,ロシア語多書体の利用: タイ語単語分割」を参照.
  8. SOAP WebService 関連モジュールをコンパイル,実行するためには JDK 5.0 以降の Java 開発・実行環境,さらに,SOAP フレームワークのクラスライブラリ,コンテナ (JSP/Servlet エンジン Jakarta-Tocat 4.1 以降,及び Axis 1.2.1 以降) が必要である.CLASSPATH も適切に設定されていなければならない.
  9. インストールのために make が必要である.

インストール
(本体, Web)

 

misima 本体及び Web CGI 環境の導入について述べる. %, # はそれぞれ Tcsh の一般ユーザ,スーパーユーザのコマンドプロンプトを示す.

  1. 添付 Makefile の修正

    以下のパラメータを修正する.URL[8], 茶筌 UTF-8 辞書[13] を除き,できるだけ変更しないことが望ましい.

     PREFIX    = /usr/local                            [1]
     WEBP      = $(PREFIX)/www/apache22                [2]
     WEBDIR    = $(WEBP)/data/misima                   [3]
     CGIDIR    = $(WEBP)/cgi-bin                       [4]
     ETCDIR    = $(PREFIX)/etc                         [5]
     MISIMADIR = $(ETCDIR)/misima                      [6]
     MISIMATMP = /tmp/misima                           [7]
     MISIMALOG = /var/log/misima.log                   [8]
     HOST      = http://url.of.your.site               [9]
     FORM      = /misima/misima.html                  [10]
     EMACS     = $(PREFIX)/bin/emacs                  [11]
     ELISPPATH = $(PREFIX)/share/emacs/site-lisp      [12]
     MAKEDA    = $(PREFIX)/libexec/chasen/makeda      [13]
     CHADICDIR = $(PREFIX)/lib/chasen/dic/ipadicutf8  [14]
    		  
       [1]    ディレクトリの PREFIX
       [2]    Web ディレクトリ(data の上位)
       [3]    Web フォームを置くディレクトリ
       [4]    CGI プログラムを置くディレクトリ
       [5]    misima 管理ファイルディレクトリ
       [6]    misima 管理ファイルディレクトリ
       [7]    misima Web CGI 用一時ディレクトリ
       [8]    misima Web CGI ログファイル
       [9]    Web メイン URL
      [10]    Web フォーム HTML
      [11]    Emacs プログラム絶対パス
      [12]    Emacs site-lisp ディレクトリ
      [13]    chasen makeda ユーティリティ絶対パス
      [14]    ipadic UTF-8 辞書ディレクトリ
    		  
  2. 茶筌 UTF-8 辞書の作成

    Makefile [14] 指定のパスに茶筌 UTF-8 辞書を作成する. ipadic-2.7.0 を展開したディレクトリ(ここでは ~/tmp/ipadic-2.7.0 として説明する)にある辞書ソースを UTF-8 変換して作成する.以下に手順を示す. EUC->UTF-8 変換に nkf を用いている. CHADICDIR はMakefile [14] 指定のパスである.

    % cd ~/tmp/ipadic-2.7.0
    % su -m
    # setenv CHADICDIR /usr/local/lib/chasen/dic/ipadicutf8
    # foreach i (*.cha *.dic)
    foreach? nkf -w $i > $CHADICDIR/$i
    foreach? end
    # cd $CHADICDIR
    # `chasen-config --mkchadic`/makemat -i w
    parsing grammar.cha
    parsing cforms.cha
    ...
    tri-gram: . 24576
    matrix size: 2446x2229 -> 362x304
    # `chasen-config --mkchadic`/makeda -i w chadic *.dic
    parsing grammar.cha
    parsing cforms.cha
    ...
    Symbol.dic
    Verb.dic
    379012 entries
    325968 keys
    # exit
    		  
  3. 管理ファイルの作成

    env/​misimarc, env/​misima.conf.sample, env/​chasenutfrc を修正する.

    (1) misimarc

    ユーザ辞書を使う場合は UDIC パラメータに辞書の絶対パスを指定する.本ファイルは make によって $HOME/​.misimarc にインストールされる.必要に応じてこれをユーザのホームディレクトリにコピーしておく.

    (2) misima.conf.sample

    Web CGI を利用する場合のみ設定する.また Makefile で [2,9,10] を指定していればパスは自動で設定される.

    # Site URL
    $mysite    = "___URL___"; # 上記[9]に合わせる
    # Form html file
    $myform    = "___FRM___"; # 上記[10]に合わせる
    # Additional Auth sites
    $authsites = "___URL___"; # 上記[9]に合わせる
    # misima web data dir (system path)
    $webdir    = "___WEB___/data/misima"; # 上記[2]に合わせる
    		  

    $authsites はリファラーのチェック時に参照する値である. misima CGI は, $authsites にマッチしないリファラーからの要求に対する処理を行わない仕様になっている.$authsites に $mysite と異なる URL を指定すると,$mysite と $authsites とが実行許可対象とされるフォーム・サイトとなる.

    本ファイルは make によって /usr/​local/​etc/​misima/​misima.​conf にインストールされる.

    (3) chasenutfrc

    以下の /usr/local/... を ipadic UTF-8 辞書インストール・ディレクトリ ([13]) に修正する. Ipadic オリジナルの EUC-JP 辞書とは別に UTF-8 辞書用ディレクトリを作成することをお勧めする.

    (GRAMMAR  /usr/local/lib/chasen/dic/ipadicutf8)
    		  

    本ファイルは make によって /usr/​local/​etc/​chasenutfrc にインストールされる.

  4. インストールの実行

    スーパユーザ権限で以下を実行するとフルインストールを行う.「動作環境」に記述した諸事項がすでに完了していなければならない.

    # make install
    		  

    あるいは以下のようにしてもよい.

    # make misima-install      : misima 本体・辞書
    # make misima-web-install  : misima CGI
    		  

    Emacs 用 Elisp のインストールは以下のとおり.

    # make misima-elisp-install
    		  
  5. Web フォームのカスタマイズ

    Web CGI を運用する場合,html/​misima.​html, html/​misima-​header, html/​misima-​footer をカスタマイズする. misima.​html は CGI サブミット用フォームのプロトタイプである. misima-​header, misima-​footer は CGI 出力結果の前後に付加される HTML コードである.

    提供リソースは弊サイトのコードそのものであり,画像や Java​Script 等のパスは弊サイト環境に依存している.利用者の環境に応じてカスタマイズ・修正が必要である. HTML ソース修正は容易であると考え,変更個所等の具体的な説明は割愛する.

    CGI フォーム・パラメータ指定は misima.​html のソースコードを参考にしていただきたい.パラメータ仕様概略を下表に示す.指定値 1|0 は機能のオン|オフを示す. text は UTF-8 テキスト文字列, {urtT...} は複数選択可能指定, C|T|K|0 はいずれか選択で 0 の場合はオフを示す.それぞれの変換機能の意味は html/​misimadoc.​html 機能仕様書を参照のこと.

    パラメータ 指定値 内容
    itext text 変換対象テキスト
    k_opt 1|0 旧仮名変換
    t_opt 1|0 単純変換
    s_opt c|j|h|u|a|0 旧字変換
    y_opt 1|0 用語・用字変換
    i_opt 1|0 繰り返し文字変換
    n_opt 1|0 仮名反転変換
    x_opt {urtTxfki} TeX 変換
    c_opt C|T|K|0 TeX JIS 中韓変換
    d_opt 1|0 デバッグ(解析結果出力)
    m_opt h|t|0 マーキング用指定 (html|TeX|無)
    m_opt_htds text html 辞書マーキング開始用テキスト
    m_opt_htde text html 辞書マーキング終了用テキスト
    m_opt_htss text html 本則マーキング開始用テキスト
    m_opt_htse text html 本則マーキング終了用テキスト
    m_opt_txds text TeX 辞書マーキング開始用テキスト
    m_opt_txde text TeX 辞書マーキング終了用テキスト
    m_opt_txss text TeX 本則マーキング開始用テキスト
    m_opt_txse text TeX 本則マーキング終了用テキスト
    s_mojikyo text 今昔文字鏡番号指定 TeX シーケンス
    utext text ユーザ辞書テキスト
  6. 環境変数の登録

    環境変数に chasenutfrc ファイルパスを登録する.なおパスは本パッケージ・インストールの標準時のものである.

    - tcsh の場合:
      % setenv CHASENRC /usr/local/etc/chasenutfrc
    - bash の場合:
      $ export CHASENRC=/usr/local/etc/chasenutfrc
    		  

    なお,これを行うと,茶筌標準の EUC-JP の辞書が参照できなくなる.chasen -r で標準の chasenrc を指定すれば標準的な動作をさせることができる.

  7. .emacs の修正

    Emacs Lisp を利用する場合,.emacs に以下の記述を追加する.

    ;; misima.elc の指定
    (require 'misima)
    ;; misima プログラムの絶対パス指定
    (setq misima-path "/usr/local/bin/misima")
    ;; misimarc の絶対パス指定($HOME/.misimarc)
    (setq misima-rc "/home/xxxx/.misimarc")
    		  
  8. Emacs コマンド

    M-x misima-コマンド RET とする.-region 名のものは,リージョン(対象テキスト範囲)を設定して実行するコマンドである.

    misima-region              := -ykitq (*1)
    misima-ucs-region          := -ykitq -s c
    misima-tex-region          := -ykitq -s a -x a
    misima-seiji-ucs-region    := -q -s c
    misima-seiji-tex-region    := -q -s a -x u
    misima-invert-kana-region  := -nq
    misima-kantaiji-tex-region := -q -x u -c C
    misima-hantaiji-tex-region := -q -x u -c T
    misima-buffer              := -ykitq -s c (*2)
    misima-seiji-buffer        := -qs c (*2)
    misima-create-buffer       := -ykitq -s c (*3)
    
      *1 -s オプション問い合わせ
      *2 当該バッファ
      *3 新規バッファ
    		  

    misima Emacs Lisp を用いると,Emacs で文書作成をしつつ必要なテキスト領域に対して misima 変換を施すことができる.図 1. 及び図 2. にそれぞれ misima Emacs Lisp の変換前後の様子 (Mac OS X Tiger, X11-Emacs 22.0.50) を示す.

    IM Menu
    図1. misima Emacs 変換前
    IM Menu
    図2. misima Emacs 変換後
  9. mlatex コマンド

    mlatex は UTF-8 で準備した TeX 原稿を対象に misima 変換, pLaTeX コンパイル, dvipdfmx PDF 生成を実行するユーティリティである.Makefile ではインストールされない. module/mlatex をカスタマイズして,実行パスの通った場所に格納して利用する. pTeX 一式, dvipdfmx, iconv 外部プログラムが必要である.

    JPCODE=EUC-JP                        [1]
    TEXRC=/usr/local/etc/misima/texrc    [2]
    OPT="-qtkyi -s a -x kifxt -r $TEXRC" [3]
    PLATEX=$PREFIX/teTeX/bin/platex      [4]
    DVIPDFMX=$PREFIX/teTeX/bin/dvipdfmx  [5]
    
     [1] pLaTeX 日本語文字コード
     [2] mlatex 用 RC. .misimarc コピーでも可.
     [3] misima コマンドライン・オプション.
         $TEXRC 不要|無の場合 -r $TEXRC は削除する.
     [4] platex 絶対パス
     [5] dvipdfmx 絶対パス
    		  

    実行は mlatex [dvipdfmx option] tex-file と入力する.dvipdfmx option は省略可能である. tex-file は拡張子 .tex を省略できる. mlatex はログメッセージをチェックして,TeX 原稿にある \ref が解決するまで platex コンパイルを自動実行するようになっている.

SOAP WebService

 

SOAP は Web サービス・オブジェクトを送受信するためのメッセージ規約である. Web CGI とは異なり, リモート PC 上のコマンドラインや Emacs から misima を呼び出して変換サービスを実現することができる.

本 misima パッケージは misima 本体を SOAP WebService 通信経由でリモート PC から利用するためのサーバ misima​Soap​Connector 及び Java クライアント misima​Soap​Client を同梱している.以下,Java 関連リソースのインストール方法について示す.

  1. 前提環境の準備

    Java, Tomcat, Axis, 及びその前提となるクラスライブラリなどの導入・環境設定を事前に実施しておく.本説明ではこれらがすでに完了しているものとする. Tomcat, Axis についてはそれぞれ, http://tomcat.apache.org/​tomcat-4.1-doc/​index.html, http://ws.apache.org/axis/ja/index.html を参照のこと.

  2. インストール Makefile の修正

    以下のパラメータをサーバの設定に従い修正する.

    JDKBINDIR    = /usr/local/jdk1.5/bin     [s1]
    AXISDIR      = $(PREFIX)/tomcat5.5/webapps/→
    axis/WEB-INF                             [s2]
    DEPLOYDIR    = $(AXISDIR)/classes        [s3]
    LOGPRPTDIR   = $(DEPLOYDIR)              [s4]
    SOAPURL      = $(HOST)/axis/services/→
    misimaSoapConnector                      [s5]
    SVCPORT      = 80                        [s6]
    SOAPLOG      = /var/log/misima_soap.log  [s7]
    MISIMAJARDIR = $(MISIMADIR)              [s8]
    USR          = www                       [s9]
    GRP          = www                      [s10]
    		  
    [s1]   java, javac など JDK の実行バイナリのディレクトリを指定する.
    [s2] Axis WEB-INF のディレクトリを指定する.
    [s3] WebService を配備(デプロイ)するディレクトリを指定する.
    [s4] Log4J ロギングプロパティファイルを設置するディレクトリを指定する.
    [s5] misima SOAP WebService の URI を指定する.
    [s6] misima SOAP WebService のポート番号を指定する.
    [s7] ログファイルの絶対パスを指定する.
    [s8] SOAP Java クライアント jar ファイルの格納ディレクトリを指定する.
    [s9] Web サービス実行オーナ名.
    [s10] Web サービス実行グループ名.
  3. SOAP サーバのコンパイル
    % make misima-soap-server
    		  
  4. Java クライアントのコンパイル
    % make misima-soap-client
    		  
  5. ドキュメントの生成

    Javadoc によって Java プログラム・ドキュメントを生成する.

    % make misima-soap-docs
    		  
  6. クラスのインストール/サーバ環境設定(デプロイ)
    # make misima-soap-install
    		  

    Java プログラム・ドキュメントは $(WEBDIR)[2] に指定したディレクトリにインストールされる.

    Axis の AdminClient によって配備(デプロイ)が実行される.アンデプロイする場合は undeploy-​misimaconnector.​wsdd を用いて AdminClient を実行すればよい.AdminClient 詳細は Axis マニュアルを参照.

  7. Tomcat 環境変数の設定

    misimaSoapConnector は MISIMA_LOG_PROPERTIES_PATH 環境変数から Log4J ロギングプロパティファイル (log4misima.​properties) の絶対パス名を取得する.このため Tomcat サーブレットエンジンの環境変数にこれをセットしておく必要がある.

    Tomcat の起動スクリプト ($CATALINA_HOME/​bin/​catalina.​sh 等) に以下を追加する.変数の右辺はインストール Makefile $(LOGPRPTDIR)/​log4misima.​properties を指定する.

    MISIMA_LOG_PROPERTIES_PATH=log4misima.propertiesのパス
    export MISIMA_LOG_PROPERTIES_PATH
    		  

    Tomcat を再起動すれば misima SOAP サービスが利用可能となる.

  8. Emacs Lisp のインストール
    # make misima-soap-elisp-install
    		  
  9. Java クライアントからのアクセス(コマンドライン)

    サーバとは異なる PC で Java クライアントを実行する場合,$(MISIMAJARDIR)/​misima.​jar 及び $(PREFIX)/​bin/​misima.​sh (UNIX の場合) を当該クライアント PC に同じパスで格納すればよい.当該 PC にも Java 環境,Axis, javax.​xml クラスライブラリが必要である.Java クライアントのセットアップについては「Emacs から『misima 旧仮名遣い・旧字変換』を使う」も参考にしていただきたい.ただし misima​Soap​Service-​0.1 のクライアントは弊サイトアクセス用であり,アクセス URI が異なるため,misima​Soap​Client.​class を本パッケージ提供/コンパイルによる生成物に入れ替える必要がある.

    Java クライアントからのサービスの呼び出しは以下の 2 通りある.いずれも標準入力から変換対象の UTF-8 テキストを読み,標準出力に変換結果を書き出す.

    % misima.sh -kyit -s c < utf8-file > output-file [方法1]
    % java misimaSoapClient -kyit -s c \
      -u http://host/axis/services/misimaSoapConnector \
      < utf8-file > output-file                      [方法2] 
    		  

    方法1 は提供シェルスクリプトによる.

    方法2 の場合環境変数 CLASSPATH には $MISIMAJARDIR/​misima.jar へのパスが含まれていなければならない.

    オプション指定は misima 本体とほぼ同じである.ただし,-r rcfile, ユーザ辞書機能はサポートしていない.

    UTF-8 で作成したテキストファイルをコマンドラインからネットワークを介して misima SOAP WebService サーバで変換する例を示す.図 3. 及び図 4. は, misima.sh (方法1) を用いてローカル PC (Mac OS X Tiger) の端末コマンドライン (uxterm) から弊サイト上の SOAP WebService サーバ — URI: http://yasuda.homeip.net/​axis/​services/​misimaSoapConnector (FreeBSD) にアクセスして変換する前後の様子である. Windows クライアントでも「コマンドプロンプト」から misima.bat によって同様の変換を行うことができる.

    IM Menu
    図3. misima SOAP WebService 変換前
    IM Menu
    図4. misima SOAP WebService 変換後
  10. Java クライアントからのアクセス(Emacs)

    Java クライアントにおいて SOAP 用 Emacs Lisp を利用する場合, .emacs に以下の記述を追加する.

    ;; misimasoap.elc の指定
    (require 'misimasoap)
    ;; misima.sh シェルスクリプトの絶対パス指定
    (setq misimasoap-path "/usr/local/bin/misima.sh")
    		  

    利用可能な Emacs コマンドは次のとおり.-region のものは選択リージョンに対して変換を行う.

    misimasoap-region                := -kyit -s c
    misimasoap-tex-region            := -kyit -s a -x a
    misimasoap-kyuji-region          := -t -s c
    misimasoap-kyuji-tex-region      := -t -s a -x u
    misimasoap-kyukana-kyuji-region  := -kt -s c
    misimasoap-kyukana-kyuji-tex-region := -kt -s c -x u
    misimasoap-kanbun-region         := -s a -x k
    misimasoap-invertkana-region     := -n
    misimasoap-buffer                := -kyit -s c (*1)
    misimasoap-kyuji-buffer          := -t -s c (*1)
    misimasoap-tex-buffer            := -kyit -s a -x a (*1)
    misimasoap-kyuji-tex-buffer      := -t -s a -x u (*1)
    misimasoap-create-buffer         := -kyit -s c (*2)
    misimasoap-tex-create-buffer     := -kyit -s a -x a (*2)
    
      *1 当該バッファ
      *2 新規バッファ
    		  

特記事項

 

本パッケージを利用する際に留意いただきたい事項を以下に示す.

  1. 作者 (isao yasuda) は本パッケージの運用に関して,いかなる責任も負わない.またいかなる保障も行わない.利用者のリスクで使用するものとする.
  2. 個人での利用は自由であり,無償とする.
  3. 以下の形態での利用を禁止する.
    - 商用での利用
    - 企業での組織的利用
    - 人権,人命に悪影響を及ぼす危惧のある利用
    - 公序良俗に反する利用
  4. 個人 Web サイトで本パッケージ配布物を一般公開する場合,作者下記電子メールアドレス宛に連絡を行うものとする.
  5. misima の著作権は作者 isao yasuda に帰属するものとする.
  6. 改変は利用者の自由とする.
  7. パッケージは作者が公開するものと同等の場合に限り,自由に再配布を行ってよいものとする.改変されたものを配布・公開する場合は,作者まで電子メールにて連絡を行うこととする.
  8. misima は,辞書の設定に基づき今昔文字鏡番号変換を行う仕様になっているが,今昔文字鏡のライセンス規定により,提供パッケージはこれができない辞書設定に修正したうえで公開している.この機能を使用したい場合は,利用者にて今昔文字鏡のライセンスを取得し,文字番号の定義を行い,ライセンス規定に則って運用すること.
  9. 仕様は断りなく変更する場合がある.
  10. バグレポート,ご意見,ご質問は電子メールでいただけるとありがたい.

misima は現在,一般公開を停止しております。これに伴い,misima-2.x パッケージの公開も停止しましたので,上記内容はすでに obsolate しております。本文書は著者の備忘録として残すだけの位置づけです。

更新履歴

 

Aug. 17, 2006 misima-2.3a: Web で公開していた misima-2.3 を新規にパッケージ公開.
Aug. 20, 2006 misima-2.3b: SOAP 関連リソースを同梱.
Jan. 11, 2007 misima-2.3c: JIS 第一・第二水準範囲内変換サポート.
Jan. 13, 2007 変換例を掲載.
Oct. 2, 2007 misima-2.3g
Oct. 8, 2007 misima-2.3i: Microsoft Word サポート
May 28, 2013 公開停止記載