Microsoft Word から「misima 旧仮名遣い・旧字変換」を使う
since Oct. 7 2005
表記法は音にではなく,語に隨ふべし.
— 福田恆存
   
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お断り
2015.8.17

 

Web Service のプラットフォームとして,最近は SOAP よりも RESTful が主流となっている.この事情のため,misima SOAP Web Service は現在運用を停止している.よって,本ページは記録として残すのみである.

これに替え,2015.08 現在,misima RESTful Web Service が稼働中である(ただし,友人のための限定公開である).Microsoft Word 2003 / 2010 用の misima RESTful Web Service VBA については筆者のブログ記事「misima RESTful Web Service Microsoft Word クライアント」及び「misima RESTful Web Service - Microsoft Office 2007」を参照いただきたい.

機能概要

 

misima 旧仮名遣い・旧字変換支援」SOAP Web Service を Microsoft Word 2003 から利用できるようにした.

misima Microsoft Word SOAP クライアントは,Word の文書テンプレートとして利用する.ユーザが Word 文書中のテキストを選択し変換指示を行うと,Word マクロとして実装された misima SOAP クライアントがインターネット経由で筆者サイトの misima SOAP サーバに変換要求を発行する.misima SOAP サーバは要求テキストを旧仮名遣い・旧字に変換し,結果をクライアントに返却する.Word マクロは結果を受取り,ユーザの選択テキストを変換結果で書き換える.処理の流れはこのようなものである.Web ブラウザから筆者のサーバで変換する操作が,Microsoft Word アプリケーションに置き換わったといってよい.

従来 misima は主として Web ブラウザから利用する形態であった.しかし,文書作成時に作業中のワープロ/エディタとブラウザとを切替えつつ,コピー・ペーストをいちいち行わなければならないのは不便である.一方,misima Java クライアントを利用すれば,Emacs からも misima を利用できるとは言え,Emacs は UNIX ワールドのエディタであり,圧倒的なシェアを有する Windows 環境ではスタンダードとは言いがたい.misima Microsoft Word SOAP クライアントにより,広く普及している Microsoft Word において,文書作成しつつシームレスに misima 変換作業を行うことが可能となる.

misima Microsoft Word クライアントは Windows 2000/XP Word 2003 以降,及び Microsoft Office XP Web Services Toolkit 2.0 (無償配布) が前提である.筆者は Windows 2000 SP4,Windows XP SP2 の Word 2003 で確認している.Microsoft が別に配布している SOAP Toolkit 3.0 では動作しないので注意してほしい.

Emacs から misima SOAP サーバで変換を呼び出す機能については,「Emacs から『misima 旧仮名遣い・旧字変換』を使う」を参照.また misima 機能・インストール・利用全般の詳細についてはドキュメント misimadoc.pdf を参照のこと.

misimaSoapService-2.5 パッケージはこのほか,Windows 秀丸エディタ,Mac OS X Jedit X,TeXShop から misima SOAP Web Service を利用するためのマクロ,AppleScript を同梱している.

詳細は『利用の手引き』を参照.

インストール

 

misima Microsoft Word クライアントは misimaSoapService-2.5 パッケージに含まれる.ダウンロード・サービスから最新版を取得して,解凍する.

Word クライアントのセットアップは,Microsoft が無償配布する Microsoft Office XP Web Service Toolkit 2.0 を組込み,misima Word テンプレートを所定の場所に格納すればよい.次にその手順を示す.

まず,Microsoft Office XP Web Services Toolkit 2.0 を Microsoft 配布サイトからダウンロードし,その setup.exe を実行してインストールする.インストーラの指示に従って「次 (Next)」をクリックしていけばすぐにインストールは完了する.

次に,word フォルダの下にある misimaTemplate.dot (Word 文書テンプレート.misima Word クライアント本体である VBA マクロ及び変換メニューを備えている) を Microsoft Word のスタートアップフォルダ: C:\​Documents and Settings\​Username\​Application Data\​Microsoft\​Word\​STARTUP にコピーする.ドライブ名や Username は利用者の環境に応じて読み替える.これで,Microsoft Word を起動すると,misima クライアントが利用できる状態になる.

使い方

 

misimaTemplate.dot には,予めツールバーと右クリックショートカットに変換操作のためのメニューが追加されている.

文書を作成しながら,必要なテキスト領域を選択する(変換したいテキストをマウスでドラッグして反転させる).このとき必ずテキストのみの連続領域を選択しなければならない.画像・表などテキスト以外のオブジェクトを含む選択範囲に対して変換指示を行うとエラーとなる.

選択範囲指定を行った後,ツールバーにある「旧仮名・旧字変換」をクリックすると変換処理がはじまる (図1).変換が終了すると選択領域が変換結果で置換される (図2).


図1 misima Word SOAP クライアント変換前

図2 misima Word SOAP クライアント変換後

ツールバー「旧仮名・旧字変換」ボタンは misima のオプション "-kytiq -s c"(旧仮名変換,UTF-8旧字変換,単純変換,用字・用語変換,繰返し符号変換を行う)に相当するものである.これに対し,マウスの右クリックショートカットメニューには,これと同じ変換内容に基づくオプション「旧仮名・旧字・用語・繰返変換」("-kytiq -s c")のみならず,「旧仮名・旧字変換」("-ktq -s c": 旧仮名変換,UTF-8旧字変換,単純変換),「旧字変換」("-tq -s c": UTF-8旧字変換,単純変換のみ)が用意されている(図3).オプションの詳細についてはドキュメント misimadoc.pdf を参照のこと.


図3 右クリックショートカットメニュー

UTF-8文字のうち人名許容・康煕字典体別掲字の一部 (「misima 辞書新字—旧字変換対応表」において "*" を後置した文字) は,旧字変換しない辞書設定になっている.Word で表示できないためである.

制限事項

 

一回当たりの変換実行指示は,実行速度,サーバの負荷等の事情を考慮し 8,000 文字に制限している.思考,推敲しながら文書作成を行うにあたっては十分であると考える.

本サービスは筆者のヤワなサーバ IBM ThinkPad X20 (Pentium-III 600MHz, 320MB memory, FreeBSD 6.2-RELEASE) で運用している上,旧仮名遣い変換において辞書を多量に読み,なおかつ茶筌で形態素解析を行う方式であり (茶筌が遅いのではなく行単位に何度も茶筌をコールしているため),性能がよいとはいえない.混雑すると (は思えないが) 処理が遅延する場合がある.長文をまとめて処理するよりも,数行程度のテキスト断片を推敲しつつ間欠的に変換指示していただきたい.

筆者の実測では,クライアント IBM ThinkPad X40 (Pentium-M 1.2GHz, 512MB memory) Windows XP SP2, Microsoft Word 2003 環境下で,テキスト 4,500 文字: 16 秒; 400 文字: 5 秒; 40 文字: 2 秒である.もちろんユーザ PC,ネットワーク要因で変動する.

Web フォーム版と比較すると,ユーザ辞書の指定ができない.これはトラフィックを抑制することが専らの目的である.とはいえ,Web でのオプション利用状況を見ると,ユーザ辞書を独自に設定した例はほとんどない.

万一,サーバエラーなどの要因で選択テキストが消えてしまうような障害が発生したら,Ctrl+z でアンドゥーして復旧させてほしい.

misimaSoapService-2.5 パッケージファイルは Norton Anti Virus 7.60 スキャンエンジン 4.1.0.15,ウィルス定義ファイル 2007/10/10 rev.23 にてウィルスチェックを行った上で公開している.

利用条件

 

ソフトウェアの利用条件はパッケージ添付の LICENSE を参照のこと.

本プログラム,サービスはその運用結果についていかなる場合においても無保証である.

本サービスはまだα版レベルである.思いついて突貫で作ったのでつまらないバグもあろうかと思う.ご意見・ご指摘をいただきながら改善したいと思う.

サーバは個人で設置したノート PC である.個人の PC でもってなにが起こるか分からないし,またメンテナンス等の事情により予告なく停止する場合がある.

もし独自にアクセスプログラムを作成する場合は筆者に必ずご連絡をいただきたい.本クライアントを独自に改造した場合も同様である.

お断りなくクライアント,サーバの仕様を変更することがある.そのうちキーを配布してアクセス利用制限を行う予定である.できればご利用になる場合はメールでご連絡いただけるとよい.なるたけメール,筆者の Web サイトで通知するつもりである.

とくに暗号化等のセキュリティ対策は施してはいない.テキストは平文でネットワークを流れることを認識いただきたい.(これは Web ブラウザ版と同じである.)

ご意見や不具合の連絡はメールでいただけるとありがたい.ご質問にも可能な限り対応したい.

更新履歴

 

Oct. 7, 2007 2.3i リリース
Oct. 28, 2007 2.4 リリース
Jan. 1, 2008 2.5 リリース