検索(パターン適合試験)機能

機能

単語が条件にマッチするかしないか単語ごとに適合検査を行う。
検索条件式は定義ファイルに記述する。検索条件式は単項式(条件)または、単項式が論理演算子及びグループ文字 (``かっこ'') で接続された複合式(条件)からなる。
検索条件式は区切り文字以外の通常文字と特殊文字で構成される。特殊文字は不定文字、論理演算子、グループ文字及びエスケープ文字がある。通常文字はマッチさせたい漢字・キリル文字その他サポート・コードの文字を直接記述する。ゲスト・コード文字でもよい。
単項式は通常文字と不定文字で指定する。区切り文字を指定すると、検索条件式もコマンド解析において区切り文字チェックの対象となるため、式はそこで区切られてしまうので注意。
(``;'' が区切り文字のとき ``a;*d'' は単項式 ``a'' と単項式 ``*d'' に分割される。)
検索条件式は se コマンドを行頭に記述して指示する。 1 行の se コマンドに複数個指定ができる。 se コマンド行は複数行指定できる。複合式も同一行に複数指定できるが、 1 式が複数行にまたがった記述はできない。単項式を論理演算子なしに1行中に複数指定した場合は、独立してパターン適合検査を行う。
``se abc def'' と書くと ``abc''と``def''と単項式が 2 個指定されたものとし、それぞれ個別に試験する。

特殊文字
不定文字、論理演算子、グループ文字及びエスケープ文字からなる。

1.

不定文字：任意の文字にマッチする文字

*：区切り文字以外の0個以上の文字 (列) にマッチすることを指示する。 ``ab*'' なる指定は語の先頭が ``ab'' であれば次に続く文字が何であってもまた何もなくてもよいものとする。
* は複数個連続で指定しても 1 個指定と同じである。
* のみの指定は論理積演算子とみなす。
.：区切り文字以外の任意の 1 文字にマッチすることを指示する。 ``ab.'' なる指定は先頭が ``ab''で次に何か1文字が続く語にマッチする。 ``abc'' はマッチだが ``ab'' や ``abcd''はマッチしないことを示す。
漢字についても``.'' は 1 文字 (2バイト) にマッチする。

2.

論理演算子：以下の文字がスペースまたはグループ文字で区切られて 1 文字で指定されたとき論理演算子とみなす。ただし ``('' 直後はのぞく。

*：論理積
+：論理和
#：論理差(否定)

3.

グループ文字：``かっこ''。対となるグループ文字で論理式を括ることにより、演算優先順位を代数演算と同じイメージで変更できる。視認性のため 1 単項式をグループとしてもよい。 ``(((abc)))''のように多重に括ることも``かっこ''の対が正しい場合には許される(演算上はこれは意味がないが)。

(：対グループ開始
)：対グループ終了

4.

エスケープ文字：特殊文字として定義されている文字そのものを単項式の通常文字として機能させたいときエスケープ文字を前置する。エスケープ文字は ``\ (バックスラッシュ)'' とする。エスケープ文字そのものを条件としたいときもエスケープする必要がある。特殊文字以外に指定しても無指定と同等に扱う。 (ここでいうエスケープ文字は x``1B'' のエスケープ文字 [ESC] とは異なるので注意)

\*：*そのもの
\.：.そのもの
\+：+そのもの
\#：#そのもの
\(：(そのもの
\)：)そのもの
\\： \そのもの

適合試験

1.

単項演算：単項式のパターン適合試験。不定文字を利用することにより表9.1 の検索手法・ヴァリエーションが可能となる。

**表 9.1:** 単項演算
検索手法	指定例	マッチ例
完全一致	abcde	abcde (abcdef はマッチしない)
中間一致	..ab.	xxabx, cdabe, ... (cdabef はマッチしない)
〃	ab	ab, cab, abc, cabde, ...
〃	ab*	ab, cadb, acdeb, cadebfg, ...
〃	${\tencyr\cyraccstn}$	${\tencyr\cyracc chastny{\u i}, izvestnogo, ...}$
前方一致	ab*	abc, abdd, ab, ...
〃	ab*.	abc, abdd, ... (ab はマッチしない)
〃	会.	会議, 会合, 会a, ... (会議室はマッチしない)
後方一致	*ab	cab, xyzab, ...
〃	..*ab	cdab, xyzab, ... (cab はマッチしない)
その他	....	4 文字の単語
〃	....*	4 文字以上の単語
〃	*	(不可:論理積演算子とみなす)

2.

2項演算(論理演算)：2つの単項式の演算結果を論理演算子及びグループ文字による結合規則に基づいて行う演算。複合式の演算。

論理積 *：A * B
単語が単項式 A 単項式 B ともに満たすときマッチ
論理和 +：A + B
単語が単項式 A 単項式 B いずれかを満たすときマッチ
論理差 #：A # B
単語が単項式 A を満たしかつ単項式 B を満たさないときマッチ
演算の優先順位
- 演算は左から右になされ優先順位は ``*'' > ``+'' = ``#''とする。
- グループ文字で演算順位を算術的に変更できる。グループのなかにさらに1個以上のグループがあってもよい。
  A * B + C：``A * B'' を先に演算しその結果と C とで論理和演算を行う。 A 偽、B 偽、C 真なら、結果は真 (その単語は条件にマッチする)となる。複合式 ``+'' は単語 ``'' に対し「マッチ」。
  A * (B + C)：``B + C'' を先に演算しその結果と A とで論理積演算を行う。 A 偽、B 偽、C 真なら、結果は偽 (その単語は条件にマッチしない)となる。複合式 ``* * (*. + **)'' は単語 ``'' に対し「マッチしない」。
条件式のエラーチェック
     ユーザ指定の条件式は逆ポーランド記法に内部的に変換する際、 ``('' と ``)'' の対応チェックは行うが演算子の多重指定など (``A * * (B + C)'') はチェックしない。実際にテキストを読み条件マッチングのとき演算子 1 個に対し単項式を 2 個要求した結果単項式数不整合を検知し、実行時エラーとなるので注意。

＜逆ポーランド記法＞
    先頭からオペレーション(演算子) と必要数のオペランド(被演算値)をフェッチしていけば優先順位を考慮しなくても演算結果を出すことのできる演算式の記法で、情報検索ではよく利用されます。
    たとえば `` $a-(b+c{\times}(d-e)){\div}f$ '' は逆ポーランド記法では `` $abcde-{\times}+f{\div}-$ '' となります。被演算値の場合は取り出してはスタック (先入れあと出しのトレイ) にどんどん押し込んで、演算子が出てくると必要なだけの被演算値をそのスタックから取り出して演算し、演算結果を再度スタックします。これを繰り返すと優先順位やかっこであと戻りせずに直線的に答がえられるしくみです。

3.

ケース条件：パターン適合試験を行うにあたり、対象テキスト及び条件の単語をすべて小文字に変換した結果で評価するか、出現した形態／指定文字列で評価するか指定ができる。小文字変換を指定すると固有名詞でも先頭大文字が小文字変換される。逆に小文字変換をしない場合、同じ語が文先頭とそれ以外での出現形態とで別々に統計分類される。

結果レポート
3レベルの出力が可能。

レベル0：条件にマッチした件数(単語の出現ののべ回数)。 ``a*(語頭がaのもの)'' のようなおおらかな調査のときに使う。
レベル1：マッチした単語とそれぞれのマッチ件数 + レベル0
レベル2：マッチした単語を含む行と前後 1 行 (計 3 行) の原文断片 + レベル1。出現したテキストファイル行番号も出力する。

特殊な利用

Up:

単語統計

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