自宅で LAN since Dec. 6 1998 |
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自宅の新築を契機に,電話線や電源コンセントの引き回しを行うついでに,LAN ケーブルも引いてもらった。カテゴリー 5 のツイストペア・ケーブルを宅内配線し,各部屋にモジュラーコンセントを設置した。 結論から言うと,今現在はたまにサブとメインのパソコンでデータ交換を行う程度の利用で,特別に重宝するというのでもなく,家族皆でファイルやプリンタを共有するわけでもないので,全くもって無駄な話だった... でも,私の友人たちのなかには,SOHO のため自宅に LAN を引きたいと考える向きもあるかと思い,参考までに拙宅の LAN 導入の顛末を紹介する。
[2015.05.10付記] 本記事は 1998 年 12 月に公開したものである。その後,家庭内 LAN は無線 LAN が一般化したため,記事のようにわざわざ UTP ケーブルを宅内配線するのはコスト的に折り合わない状況であると考える。あくまで家屋新築の際の参考にしていただければ幸いである。現時点ではカテゴリー 5 ではなくカテゴリー 7 の UTP・モジュラーコンセントを選択するのがベストであると考える。 筆者の環境はその後,フレッツ光,au ひかりと変遷し,現在,100BASE-TX 屋内 LAN から 100Mbps で広域網と接続している。Wi-Fi スポットも設置してモバイル接続も可能になった。記事にある YAMAHA DSU 内蔵 TA は KDDI 光回線用 ONU + NEC Aterm ルータに,10BASE-T HUB は 100BASE-TX HUB に入れ替わっている。ギガビットネットワークが当たり前の時代になり,宅内配線 UTP をカテゴリー 5e / 6 / 7 にリプレースするか悩むところである。
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LAN のトポロジーは最もお手軽なスター型の Ethernet (10BASE-T) とした。HUB (ツイストペア・マルチポート・リピータ) を中心にして放射状に回線を伸ばし,端末を接続する。 宅内を這わせるLAN回線はカテゴリー5 の UTP (アンシールド・ツイストペア・ケーブル) 単線とした。EIA/TIA-568 規格に準拠した仕様のものが一般的である。 拙宅は LDK,寝室,子供部屋× 2 及びロフトの 5 部屋あり,どうせなら全部屋からネットワークを利用できるようにする。このため少なくとも 5 ポートを有する HUB が必要である。 ロフトは妻と私の勉強部屋とすることにしていたが,妻に頭を下げてここにファースト・マシンとともに HUB を設置させてもらい,各部屋からの回線を集合させることとした。各部屋のターミナルはカテゴリー 5 のモジュラーコンセントを壁に埋め込む。4 部屋からロフトに集線するため,モジュラーコンセントは各部屋側 4 個とロフト側 4 個の計 8 個必要である。 かねがねインターネットへのアクセスを高速化したいと考えていたので,ISDN を導入する。 電話用モジュラーは TA のアナログ・ポートから宅内をいもずるで接続することとした。 上記仕様で電気屋さんにお願いしたが,曰く,やったことがないのでわからない,宅内配線,結線及び壁コンセントの工事は何とかするが,LAN 関係のブツは自前で準備して欲しい,簡単な結線方法を教えて欲しい。というわけで私自身で UTP ケーブル,モジュラーコンセント,HUB と ISDN-TA を秋葉原などのショップから調達することになった。 LANの配線のイメージは下図のとおり。
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宅内を這わせる LAN 回線はカテゴリー 5 の UTP (アンシールド・ツイストペア・ケーブル) 単線とした。 UTP はいくつか種類があるが,EIA/TIA-568 規格に準拠した仕様のものが一般的である。これは 2 本の線を対にしてよじり,4 対束ねた 8 極 8 芯の単線で,それぞれの対には,橙−橙/白,緑−緑/白,茶−茶/白,青−青/白の色付けが施されている。
宅内の UTP を接続する各部屋のターミナルとなるモジュラーコンセントは,8 極 8 芯の RJ-45 タイプの口を有し,同様に EIA/TIA-568 規格に準拠したカテゴリー 5 用のものを選択する。AMP などの有名メーカからいくつも種類が出ている。 電気屋さんは,電話や家庭用電源コンセントは松下電工のものを使っているとのことだったので,私は電気屋さんの壁プレート (コンセントの覆い) に合致すると思われる松下電工製のカテゴリー 5 モジュラーコンセントを採用した。 このコンセントは埋め込み型なので,別途取付け金具も用意する必要がある。
カテゴリー 5 は通常 10BASE-T と 100BASE-TX で利用される。つまり 10Mbps と 100Mbps の通信速度が可能なわけであるが,100Mbps の高帯域で利用するためには信号の減衰などのデリケートな条件があり,モジュラーコンセントの品質など注意が必要である。私のパソコンの LAN ボードはメインもサブも 10Mbps の仕様なのでこのへんはあまり気にしないことにした。 ケーブルとモジュラーコンセントの接続イメージは下図のとおり。
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松下電工のモジュラーコンセントには,当然ながら結線方法の説明書が添付されている。これを電気屋さんに手渡して結線をお願いする。 結線作業は基本的に電気屋さんに依頼したほうがよい。工事を取り行うには資格が必要である。最近流行の「なんでもかんでも自作」のノリでやると,火事・漏電などの危険性をはらむ場合がある。 RJ-45 モジュラージャックの結線部は 110 タイプとよばれる形式の端子であり,説明書には成端 (結線) は専用のインパクトツール (治具) を利用する旨の記述があるが,電気屋さんはマイナスのドライバで作業したようである。さすがプロの仕業,問題無く利用できている。
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※1) コンセントカバー (壁プレート) は電気屋さんが提供。
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インターネットとの窓口は YAMAHA の ISDN ダイアルアップ・ルータを利用している。PC は私,妻用のデスクトップ 2 台,ノート PC 2 台あるが,NAPT (IP Masquerade) 機能のおかげで同時にインターネットアクセスが可能である。 通常の ISDN-TA と PC を組み合わせて,ダイアルアップ・ルータとして利用することは可能である。出来合いのダイアルアップ・ルータに比べると,NAPT やファイアウォールなどの設定が面倒だし,PC をルータ専用機とするには高価に過ぎるかもしれないが,旧型の PC の余生としてはふさわしい利用方法でないかと思う。以前,私も NTT 東京製の MN128mini を用いて,この方式を採用していた。興味のある方は,本ページの旧版を参照されたい。 ネットワーク構成イメージは下図のとおり。
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私はフレッツ ISDN に加入しており,ルータはほぼインターネット常時接続の状態である。最近,ドメイン名に対しダイナミックに IP アドレスを設定してくれるDNS サービスサイト "dyndns.org" がある。これを利用して,ノート PC (古くなりディスプレイがいかれてしまった旧型のほう) にドメイン名を付与し,FreeBSD と apache を導入し,Web サーバとして公開している。このために必要な設定について簡単に述べる。 YAMAHA RTA52i (以下ルータ) では静的 IP マスカレード機能により,グローバル側から自宅のローカル・マシンにアクセスが可能である。Web として公開したいサーバのローカルアドレスを登録する。このときアクセスポートを 80 のように指定する。詳細は RTA52i のマニュアルまたは Web ページを参照のこと。 dyndns.org からドメイン名を取得する。インターネットプロバイダがルータに付与したグローバル IP アドレスが必要である。 常時接続を行っていても,プロバイダの事情等により登録時に使ったグローバル IP アドレスを利用し続けることができるとは限らない。このため定期的に (A) ルータに付与されたアドレスを問い合わせ,変化があれば (B) dyndns.org のドメイン情報を自動的に更新する仕組みがあると便利である。 (A) についてはルータに管理者アカウントでログインしてプロバイダが付与したアドレスを照会する。perl 等のスクリプトによりルータに Telnet して RTA52i の show status(接続状況表示)コマンドを実行する。 (B) については ddup というプログラムが公開されており,FreeBSD の ports にもなっているので,簡単に入手・インストールが可能である。 (A)(B)を行うスクリプトを cron に登録して定期的に自動実行する。スクリプトの例はぴよぴよさんのサイトにあるので参考にするとよい。このスクリプトに対し,(1)不必要にアップデートアクセスすると DynDNS 側が閉塞するため,ルータに振られたアドレスに変更がない場合は更新しない,(2)DynDNS は一月更新がないとエントリを削除するため,月が変わると無条件に更新を行う,この2点の改良を加えた私自身の版を参考までに掲載する。 その他 TCP/IP ネットワーク設定の解説はゴマンとあるのでここでは繰り返さない。
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私は上記のノート PC 上に Web サーバ(apache),メールサーバ(sendmail)を稼働させている。 さらにメールの自動振り分けソフト procmail,メール書庫管理ソフト MHonArc,日本語全文検索 namazu を導入・活用している。これにより,電子メールを受け取るつど HTML 書庫にアーカイヴしつつ検索インデックスを追加し,Web ブラウザでどこからでもメールを検索・閲覧できる。もちろん個人的なメールデータであるので,パスワードで認証するなどのセキュリティをかけている。 また apache に DAV モジュールを追加することによりいわゆる Web フォルダ機能を実現しており,やはり Web が利用できるところならどこからでもファイルの読み書きができて便利である。 このへんの活用方法は,そのうち時間的余裕ができたら,もう少し具体的に書いてみたい。
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